雨の日にだけ、その路地は少し長くなる。
鬱屈とした梅雨の合間にまるで天からの贈り物のように晴天になった日に気付いたことだった。
普段なら、三歩で突き当たるはずのなんの変哲もない路地裏という名のゴミ置き場。晴れている日なら木の板で先が塞がれているのが大通りから目視出来るくらいの場所だった。だが、それがないのだ。
普段なら三歩で突き当たるはずの裏道に入ってみた。傘をさして歩いていると、ぬるりとした感触に襲われ、先へと侵入されることが許される。気付いた瞬間には、いつものように木の板が背後にそびえ立っており、帰ることは許されなかった。
進むか。
まっすぐ何かに導かれるように歩いていくと、濡れたアスファルトに古い看板の影が滲んでそこには昔存在していた、しかし、数年前に潰れたはずの店の名前の看板がぶら下がってる。
奇天烈文房店。
そんな怪しい場所は、小学生の時にはお化けが出るだとか、流行りだったゲームの裏ボスが眠っているだとかで誰も近付こうとしなかった。
ふと、ガラス越しに見える棚をのぞいてみる。色褪せたノート、試し書きのできない万年筆。色々なものが整然と並んでいる。ふと、扉に近付く。営業中の看板が出ているのに、音はなく、客の気配は当然ない。そもそも店主がいるのか、そんな疑問がよぎる。
無意識にドアノブに手を掛けていた。その時だった。まるで逃げ道を塞ぐみたいな見たこともない豪雨に襲われる。このままだと傘が壊れる。そう思うと、ええいままよ、と店の中に入った。
「今日は、よく降りますね」
店の奥からは、何か示し合わせたように声がした。まるで来るのがわかっていたように。
その声は老婆の声。懐かしい気持ちもするような温かい声だった。
鬱屈とした梅雨の合間にまるで天からの贈り物のように晴天になった日に気付いたことだった。
普段なら、三歩で突き当たるはずのなんの変哲もない路地裏という名のゴミ置き場。晴れている日なら木の板で先が塞がれているのが大通りから目視出来るくらいの場所だった。だが、それがないのだ。
普段なら三歩で突き当たるはずの裏道に入ってみた。傘をさして歩いていると、ぬるりとした感触に襲われ、先へと侵入されることが許される。気付いた瞬間には、いつものように木の板が背後にそびえ立っており、帰ることは許されなかった。
進むか。
まっすぐ何かに導かれるように歩いていくと、濡れたアスファルトに古い看板の影が滲んでそこには昔存在していた、しかし、数年前に潰れたはずの店の名前の看板がぶら下がってる。
奇天烈文房店。
そんな怪しい場所は、小学生の時にはお化けが出るだとか、流行りだったゲームの裏ボスが眠っているだとかで誰も近付こうとしなかった。
ふと、ガラス越しに見える棚をのぞいてみる。色褪せたノート、試し書きのできない万年筆。色々なものが整然と並んでいる。ふと、扉に近付く。営業中の看板が出ているのに、音はなく、客の気配は当然ない。そもそも店主がいるのか、そんな疑問がよぎる。
無意識にドアノブに手を掛けていた。その時だった。まるで逃げ道を塞ぐみたいな見たこともない豪雨に襲われる。このままだと傘が壊れる。そう思うと、ええいままよ、と店の中に入った。
「今日は、よく降りますね」
店の奥からは、何か示し合わせたように声がした。まるで来るのがわかっていたように。
その声は老婆の声。懐かしい気持ちもするような温かい声だった。