読み込み中...

奇天烈文房店。

小説設定: | 連続投稿: 不可 | 投稿権限: 全員

概要

第1話 奇天烈文房店。
澪月かんな。
2025年12月29日 22:54 | 35
雨の日にだけ、その路地は少し長くなる。
 鬱屈とした梅雨の合間にまるで天からの贈り物のように晴天になった日に気付いたことだった。
 普段なら、三歩で突き当たるはずのなんの変哲もない路地裏という名のゴミ置き場。晴れている日なら木の板で先が塞がれているのが大通りから目視出来るくらいの場所だった。だが、それがないのだ。
 普段なら三歩で突き当たるはずの裏道に入ってみた。傘をさして歩いていると、ぬるりとした感触に襲われ、先へと侵入されることが許される。気付いた瞬間には、いつものように木の板が背後にそびえ立っており、帰ることは許されなかった。

 進むか。

 まっすぐ何かに導かれるように歩いていくと、濡れたアスファルトに古い看板の影が滲んでそこには昔存在していた、しかし、数年前に潰れたはずの店の名前の看板がぶら下がってる。

 奇天烈文房店。

 そんな怪しい場所は、小学生の時にはお化けが出るだとか、流行りだったゲームの裏ボスが眠っているだとかで誰も近付こうとしなかった。
 ふと、ガラス越しに見える棚をのぞいてみる。色褪せたノート、試し書きのできない万年筆。色々なものが整然と並んでいる。ふと、扉に近付く。営業中の看板が出ているのに、音はなく、客の気配は当然ない。そもそも店主がいるのか、そんな疑問がよぎる。

 無意識にドアノブに手を掛けていた。その時だった。まるで逃げ道を塞ぐみたいな見たこともない豪雨に襲われる。このままだと傘が壊れる。そう思うと、ええいままよ、と店の中に入った。

「今日は、よく降りますね」

 店の奥からは、何か示し合わせたように声がした。まるで来るのがわかっていたように。
 その声は老婆の声。懐かしい気持ちもするような温かい声だった。
この小説をシェア
このパートからの分岐 (2)
雨宿りと、懐かしい匂い

「あ……、すみません。あまりに酷い降りだったので」 僕は濡れた傘をすぼめ、申し訳なさそうに頭を下げた...

蒼月(そうげつ) 蒼月(そうげつ)
12/31 09:54
書かれているからですよ

声に導かれるように、私は一歩、二歩と店内へ足を踏み入れた。  扉は閉めたはずなのに、背後から雨音は聞...

さんぽ さんぽ
12/31 12:33
全階層の表示(4件)
第1話 奇天烈文房店。 澪月かんな。 0 36
・雨の日にだけ、その路地は少し長くなる。  鬱屈とした梅雨の合間にまるで天からの贈...
第2話 雨宿りと、懐かしい匂い 蒼月(そうげつ) 0 36
・「あ……、すみません。あまりに酷い降りだったので」 僕は濡れた傘をすぼめ、申し訳...
NEW 第3話 老婆の言葉 さんぽ 0 18
・「……正直に言うと、自分でも分からないんです」 そう答えると、老婆は少しだけ嬉し...
第2話 書かれているからですよ さんぽ 0 37
・声に導かれるように、私は一歩、二歩と店内へ足を踏み入れた。  扉は閉めたはずなの...
コメント
コメントを投稿するにはログインしてください。

ユーザー登録でみんつぐをもっと楽しもう!

お気に入りの小説の更新通知が届く

フォローした作家の新作をすぐに確認

好きな作品にいいね・コメント

感動を作者に直接届けられる

マイページで投稿を管理

自分の作品やいいねを一覧で確認

小説を書いてリレーに参加

新作を始めたり続きを自由に書ける

気になる作家をフォロー

好きな作家の新作をすぐチェック

分岐ツリーで展開を可視化

ストーリーの分岐を一目で確認

他にもみんつぐを楽しく便利に使う機能が充実!

無料で新規登録

すでにアカウントをお持ちの方は