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あそぼう、異世界の島

制作者: さんぽ
小説設定: | 連続投稿: 不可 | 投稿権限: 全員

概要

第1話 島と、最初の椅子
さんぽ
2026年01月12日 12:31 | 24
目を覚ました時、最初に思ったのは――
(あ、これ死んだな)
だった。

理由は簡単で、天井がなかったからだ。
代わりに見えるのは、どこまでも澄んだ青空と、見慣れない二つの月。

「……異世界、ってやつか?」

声に出すと、潮の匂いが混じった風が頬を撫でた。
体を起こすと、白い砂浜。遠くには緑に覆われた小さな島。どう見ても日本じゃない。

混乱する間もなく、足音がした。

「目、覚めた?」

振り返ると、麦わら帽子をかぶった少女が立っていた。日に焼けた肌、素朴な笑顔。背中には魚籠。

「ここ、どこだ……?」

「カナエ島。漂着者は久しぶりだね」

どうやら俺は、異世界の無人島――ではなく、「人が少ない島」に流れ着いたらしい。
少女――リラは、島の住人で、畑仕事と漁をして暮らしているという。

「生きるの大変そうだな……」
「慣れれば楽だよ。ほら、まずは座って」

そう言って、リラは浜辺に置かれた木箱を指さした。

腰を下ろそうとした、その瞬間。

《固有スキル【家具抽選】が発動しました》

頭の中に、軽い電子音が鳴った。

(……なに?)

次の瞬間、木箱が淡く光り、形を変えた。

「え?」

現れたのは――
背もたれが異様に高く、彫刻が施された、明らかに王城クラスの玉座だった。

「………………」
「………………?」

浜辺に不釣り合いすぎる、金と赤を基調にした豪奢な椅子。
風でマントのような布がはためく。

「な、なにこれ……?」
「いや、俺が聞きたい」

リラは恐る恐る椅子に触れ、目を丸くした。

「これ、王都の大聖堂にあったやつと同じ紋章……」

(やばいやつ引いた)

慌てて立ち上がると、再び音が鳴る。

《家具ランク:SSS
効果:座る者の疲労を完全回復》

試しに腰を下ろした瞬間、
体中の疲れ、空腹、不安がすべて消えた。

「……あ、これ便利だな」

こうして俺は、
異世界ののどかな島で、
なぜか家具だけがチート級という謎の能力を手に入れてしまったらしい。

畑もない。家もない。
でも、浜辺には王の玉座。

スローライフになるはずだった異世界生活は、
どう考えても家具の方向性を間違えている気がした。

リラが笑って言った。

「まあ、座り心地いいなら、いい島だよね」

……この島、意外と楽しくなるかもしれない。
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動く至宝

「……これ、本物なんだね」 リラが、おずおずと玉座の背もたれを指でなぞる。 夕陽が傾いてきて、王座の...

クロマル クロマル
01/13 22:36
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第1話 島と、最初の椅子 さんぽ 0 25
・目を覚ました時、最初に思ったのは―― (あ、これ死んだな) だった。 理由は簡単...
NEW 第2話 動く至宝 クロマル 0 6
・「……これ、本物なんだね」 リラが、おずおずと玉座の背もたれを指でなぞる。 夕陽...
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