最初の物語

制作者: レュー 文芸
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概要

第2話 色づく世界
レュー
2025年10月09日 16:11
目が覚めた時、リリアは草の上にいた。しかし、それは彼女の知っている緑ではなかった。空は淡い薔薇色に染まり、地面から生える草は一本一本が硝子のように透き通って、風が吹くたびに涼やかな音を立てた。森の木々はインクを垂らしたように黒く、葉の代わりに小さな銀の鈴を無数につけていた。

「ここは…?」

呆然と呟くリリアの前に、いつの間にかあの少年が立っていた。本の中から現れた時と寸分違わぬ姿で、静かに彼女を見つめている。

「君が望んだ世界だ。いや、これから君が紡いでいく物語の世界だ。」

「私が…紡ぐ?」

「そうさ。あの本は始まりの白紙。最初の言葉は僕が書いた。でも、二番目のインクを垂らすのは君の役目だ。」

少年はそう言って、リリアの足元を指さした。そこには、彼女の影がなかった。代わりに、黒いインクの染みのようなものがゆらゆらと揺れている。それはまるで、何かを待っているかのようだった。

「さあ、最初の物語を始めよう。君が歩けば道になり、君が言葉を発すれば風が生まれる。この世界で君は、ただの図書館の娘じゃない。」

少年は優しく、しかし有無を言わさぬ力強さで言った。

「君は、創造主だ。」

リリアはごくりと喉を鳴らし、震える足で一歩、前へ踏み出した。
その瞬間、足元のインクの染みが淡い光を放ち、目の前に見たこともない花がひとつ、ゆっくりと咲いた。
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「で、これからどうすんの?」 リリアは周囲を見回しながら、あっけらかんと尋ねた。 少年は一瞬、目を...

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