日本橋の賑やかな往来。人々がみな、掌サイズの四角い「黒塗りの箱」を食い入るように見つめながら歩いている。前を見ていないので、ぶつかりそうになる者もいる。
近頃、江戸の町で妙なものが流行り出した。「知恵の箱」という。この箱、指で撫でれば万の知識を答えてくれるという優れもの。 長屋の八五郎、隠居の御隠居の家へ飛び込んでくる。
八五郎 「へへっ、御隠居! まだ書物なんか読んでるんですかい。今はこれですよ、これ。『箱先生』でさあ!」
御隠居 「なんだ八、騒々しい。その硯箱のようなものはなんだ?」
八五郎 「こいつは凄ぇんで。今日の天気から、隣の娘の好物、果ては将軍様の晩御飯まで、指先ひとつで教えてくれまさぁ」
近頃、江戸の町で妙なものが流行り出した。「知恵の箱」という。この箱、指で撫でれば万の知識を答えてくれるという優れもの。 長屋の八五郎、隠居の御隠居の家へ飛び込んでくる。
八五郎 「へへっ、御隠居! まだ書物なんか読んでるんですかい。今はこれですよ、これ。『箱先生』でさあ!」
御隠居 「なんだ八、騒々しい。その硯箱のようなものはなんだ?」
八五郎 「こいつは凄ぇんで。今日の天気から、隣の娘の好物、果ては将軍様の晩御飯まで、指先ひとつで教えてくれまさぁ」