童話異聞録その1「浦島太郎」
制作者:
A5
二次創作
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 10話で完結
概要
「浦島太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
翌日も、宴は続いていた。
昨日と同じ音楽、昨日と同じご馳走。
「どうじゃ太郎! 今日もご馳走じゃぞ!」
肩の上で、カメーリアがはしゃいでいる。
「...ああ、そうだな」
太郎の顔はこわばっていた。
(...おかしい。みんな、昨日と同じだ...)
タイやヒラメたちの笑顔が、作り物の面のように見える。
乙姫は、広間の隅で、またあの光る板を操作していた。
「ん? 元気がないのう。もしや二日酔いか?」
「...いや。ちょっと、外の空気吸ってくる」
「ふむ? 迷うなよ?」
「ああ」
太郎はそっと宴会場を抜け出した。
冷たい、無機質な通路。自分の足音だけが響く。
(どこだ...。昨日の夜、乙姫がいたのは...)
あてもなく歩くと、一つの扉に突き当たった。
『No Trespassing』
見たこともない文字が書かれてあった。
だが、入ってはいけないというような雰囲気は感じる。
扉が、かすかに開いていた。
中から、乙姫の声がした。
「...『サンプル:浦島太郎』のデータは? 適合率は?」
「現在解析中。ですが、これまでのサンプルとは明らかに反応が異なります」
太郎は息を殺し、扉の隙間から中を覗いた。
「...!」
そこは、研究室だった。
壁一面のモニター。光る文字の羅列。
そして、部屋の中央に並ぶ、巨大な水槽。
緑色の液体の中で、何かが浮かんでいる。
人...?
いや、違う。
ヒレが生えている。エラがある。
それは、人間と魚の、中間のような...
「地上の汚染は限界です」
白衣を着た乙姫が、冷たい声で言った。
「我々『竜宮』の民が、地上の生命を強制的に『適応』させるしかない」
「彼は、そのための『鍵』になるかもしれない...。あのカメーリアの『海戦用ボディ』に、あれだけ乗って平気だったのですから」
「(...なんだよ、これ...)」
太郎は全身の血が凍るのを感じた。
歓迎? 助かった?
全部、嘘か。
「(ヤバい。ここにいちゃダメだ)」
太郎は物音を立てないよう、ゆっくりと後ずさった。
(カメーリアは...? あいつもグルか?)
(いや、今はどうでもいい)
(逃げろ)
(どこへ?)
(...そうだ。カメーリアがデカくなった、あの場所へ!)
太郎は、宴会場とは逆の方向へ、息を潜めて走り出した。
昨日と同じ音楽、昨日と同じご馳走。
「どうじゃ太郎! 今日もご馳走じゃぞ!」
肩の上で、カメーリアがはしゃいでいる。
「...ああ、そうだな」
太郎の顔はこわばっていた。
(...おかしい。みんな、昨日と同じだ...)
タイやヒラメたちの笑顔が、作り物の面のように見える。
乙姫は、広間の隅で、またあの光る板を操作していた。
「ん? 元気がないのう。もしや二日酔いか?」
「...いや。ちょっと、外の空気吸ってくる」
「ふむ? 迷うなよ?」
「ああ」
太郎はそっと宴会場を抜け出した。
冷たい、無機質な通路。自分の足音だけが響く。
(どこだ...。昨日の夜、乙姫がいたのは...)
あてもなく歩くと、一つの扉に突き当たった。
『No Trespassing』
見たこともない文字が書かれてあった。
だが、入ってはいけないというような雰囲気は感じる。
扉が、かすかに開いていた。
中から、乙姫の声がした。
「...『サンプル:浦島太郎』のデータは? 適合率は?」
「現在解析中。ですが、これまでのサンプルとは明らかに反応が異なります」
太郎は息を殺し、扉の隙間から中を覗いた。
「...!」
そこは、研究室だった。
壁一面のモニター。光る文字の羅列。
そして、部屋の中央に並ぶ、巨大な水槽。
緑色の液体の中で、何かが浮かんでいる。
人...?
いや、違う。
ヒレが生えている。エラがある。
それは、人間と魚の、中間のような...
「地上の汚染は限界です」
白衣を着た乙姫が、冷たい声で言った。
「我々『竜宮』の民が、地上の生命を強制的に『適応』させるしかない」
「彼は、そのための『鍵』になるかもしれない...。あのカメーリアの『海戦用ボディ』に、あれだけ乗って平気だったのですから」
「(...なんだよ、これ...)」
太郎は全身の血が凍るのを感じた。
歓迎? 助かった?
全部、嘘か。
「(ヤバい。ここにいちゃダメだ)」
太郎は物音を立てないよう、ゆっくりと後ずさった。
(カメーリアは...? あいつもグルか?)
(いや、今はどうでもいい)
(逃げろ)
(どこへ?)
(...そうだ。カメーリアがデカくなった、あの場所へ!)
太郎は、宴会場とは逆の方向へ、息を潜めて走り出した。
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