童話異聞録その1「浦島太郎」
制作者:
A5
二次創作
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 10話で完結
概要
「浦島太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
太郎は波打ち際までやって来た。
手のひらの上で、カメーリアは目を輝かせている。
「おお...。海じゃ、海じゃ!」
「本当に大丈夫なのか? お前、どう見てもミドリガメだぞ」
「くどいぞ愚民! わらわの力を疑うか!」
手のひらのカメーリアは、相変わらずエラそうだった。
太郎は仕方なく、ゆっくりと海へ足を踏み入れた。
冷たい波が、足首を撫でる。
「よし、そこまででよい。わらわを海面に置け」
「...置くって、沈むんじゃないか?」
「黙れ! やれと言ったらやれ!」
太郎は恐る恐る、手のひらを海面に近づけた。
ちゃぷん。
カメーリアが、波の上に滑り落ちる。
一瞬、沈みかけた。
「ほら!」
太郎が手を伸ばそうとした、その瞬間——
ゴオオオオオオオッ!
海面が、光った。
緑色の、眩しい光。
「うわっ!」
太郎は思わず目を閉じた。
波が激しく揺れる。いや、揺れるなんてもんじゃない。
まるで何か巨大なものが、海の底から浮かび上がってくるような...
「き、貴様、下がれ! 吹き飛ぶぞ!」
カメーリアの声が、さっきよりずっと大きく響いた。
太郎が目を開けると——
「...嘘だろ」
そこには、もう手のひらサイズの亀はいなかった。
いるのは、太郎の背丈の、いや、それよりもずっと大きな、巨大な亀。
いや、亀なんて言葉じゃ足りない。
これは...怪獣?ガ◯ラ!?
緑色に輝く甲羅。
ゴツゴツとした四肢。
鋭い爪。
そして、太い首の先には、さっきまでの愛らしさのかけらもない、鋭利な顔つき。
「どうじゃ、漁師よ! これがわらわの『海戦用ボディ』じゃ!」 地鳴りのような、エラそうな声が響いた。
カメーリアの声が、低く、太く響いた。
甲羅は太陽の光を受けて、ギラギラと金属めいた輝きを放っている。
まるで、伝説の守護獣か何かのようだった。
「お、おい...。お前、何メートルあるんだよ...」
「細かいことは気にするな。さあ、乗れ」
「乗れって...」
カメーリアは、どっしりと波間に浮かんでいる。
その背中——巨大な甲羅の上は、ちょうど人が乗れそうな平らなスペースになっていた。
「早くせい。日が暮れるぞ」
「いや、待て待て。これ、本当に乗って大丈夫なのか?」
「案ずるな。竜宮城まで、ひとっ飛びじゃ! ...たぶん!」
(また「たぶん」って言った...)
太郎は覚悟を決めた。
もうここまで来たら、引き返せない。
ざぶざぶと海に入り、よじ登る。
甲羅の表面は思ったより温かく、ざらざらしていた。
「しっかり掴まっておれよ」
「おい、ちょっと——」
言い終わる前に、カメーリアが動いた。
ゴオオオオオオオッ!
凄まじい速さで、海を駆ける。
いや、駆けるなんてもんじゃない。
波を蹴散らし、飛ぶように進んでいく。
「うわああああああああッ!」
太郎は甲羅に必死にしがみついた。
潮風が、顔を叩く。
空が、海が、ぐるぐる回る。
「はーっはっはっは! どうじゃ、わらわの力は!」
「速い、速すぎるッ!」
「まだまだこんなものではないわ! 見ておれ!」
カメーリアの甲羅が、さらに光り始めた。
——まるで、空でも飛ぶかのように。
太郎は、訳がわからないまま、ただ必死に巨大亀の背にしがみついていた。
竜宮城なんて、本当にあるのだろうか。
それは、太郎にも、まだわからなかった。
手のひらの上で、カメーリアは目を輝かせている。
「おお...。海じゃ、海じゃ!」
「本当に大丈夫なのか? お前、どう見てもミドリガメだぞ」
「くどいぞ愚民! わらわの力を疑うか!」
手のひらのカメーリアは、相変わらずエラそうだった。
太郎は仕方なく、ゆっくりと海へ足を踏み入れた。
冷たい波が、足首を撫でる。
「よし、そこまででよい。わらわを海面に置け」
「...置くって、沈むんじゃないか?」
「黙れ! やれと言ったらやれ!」
太郎は恐る恐る、手のひらを海面に近づけた。
ちゃぷん。
カメーリアが、波の上に滑り落ちる。
一瞬、沈みかけた。
「ほら!」
太郎が手を伸ばそうとした、その瞬間——
ゴオオオオオオオッ!
海面が、光った。
緑色の、眩しい光。
「うわっ!」
太郎は思わず目を閉じた。
波が激しく揺れる。いや、揺れるなんてもんじゃない。
まるで何か巨大なものが、海の底から浮かび上がってくるような...
「き、貴様、下がれ! 吹き飛ぶぞ!」
カメーリアの声が、さっきよりずっと大きく響いた。
太郎が目を開けると——
「...嘘だろ」
そこには、もう手のひらサイズの亀はいなかった。
いるのは、太郎の背丈の、いや、それよりもずっと大きな、巨大な亀。
いや、亀なんて言葉じゃ足りない。
これは...怪獣?ガ◯ラ!?
緑色に輝く甲羅。
ゴツゴツとした四肢。
鋭い爪。
そして、太い首の先には、さっきまでの愛らしさのかけらもない、鋭利な顔つき。
「どうじゃ、漁師よ! これがわらわの『海戦用ボディ』じゃ!」 地鳴りのような、エラそうな声が響いた。
カメーリアの声が、低く、太く響いた。
甲羅は太陽の光を受けて、ギラギラと金属めいた輝きを放っている。
まるで、伝説の守護獣か何かのようだった。
「お、おい...。お前、何メートルあるんだよ...」
「細かいことは気にするな。さあ、乗れ」
「乗れって...」
カメーリアは、どっしりと波間に浮かんでいる。
その背中——巨大な甲羅の上は、ちょうど人が乗れそうな平らなスペースになっていた。
「早くせい。日が暮れるぞ」
「いや、待て待て。これ、本当に乗って大丈夫なのか?」
「案ずるな。竜宮城まで、ひとっ飛びじゃ! ...たぶん!」
(また「たぶん」って言った...)
太郎は覚悟を決めた。
もうここまで来たら、引き返せない。
ざぶざぶと海に入り、よじ登る。
甲羅の表面は思ったより温かく、ざらざらしていた。
「しっかり掴まっておれよ」
「おい、ちょっと——」
言い終わる前に、カメーリアが動いた。
ゴオオオオオオオッ!
凄まじい速さで、海を駆ける。
いや、駆けるなんてもんじゃない。
波を蹴散らし、飛ぶように進んでいく。
「うわああああああああッ!」
太郎は甲羅に必死にしがみついた。
潮風が、顔を叩く。
空が、海が、ぐるぐる回る。
「はーっはっはっは! どうじゃ、わらわの力は!」
「速い、速すぎるッ!」
「まだまだこんなものではないわ! 見ておれ!」
カメーリアの甲羅が、さらに光り始めた。
——まるで、空でも飛ぶかのように。
太郎は、訳がわからないまま、ただ必死に巨大亀の背にしがみついていた。
竜宮城なんて、本当にあるのだろうか。
それは、太郎にも、まだわからなかった。
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