読み込み中...

フラグメント『天童ゆりあの日常』

制作者: レュー
小説設定: | 連続投稿: 不可 | 投稿権限: 全員

概要

第3話 天童ゆりあと兆候
澪月かんな。
2025年12月26日 13:25 | 34
それから毎日。決まった時間、決まった不可解な行動をとる天童さんから俺は目が離せなかった。授業中、チラリと天童さんの横顔を見る。ああいった発言がなければ、ただの普通のどこにでもいそうな少女。転校してきたばかりなのに、テストの成績もそんなに悪くない。普段使っている無駄な語彙のお陰か、国語の点数だけは異様によかった。

「貴殿、今日はいつになく我の顔を見ているな。何かの兆候を感じているか」
「兆候……?」

 天童さんの指摘に俺はしまった、という顔をする。天童さんに出会ったあの日から、なんだか胸騒ぎがして仕方がなくて、日常を壊したくなくて、彼女を徹底的に避けていたのだ。あからさまに顔に出していたのか、天童さんはフン、と笑う。見下しているわけでもなく、だからといって俺に興味が湧いているわけでもない、天童さんの言った「兆候」について確認したい、と様子だった。
 俺がぼんやりと不敵な笑みを浮かべる天童さんを見ていると、いつも通り机の端に置いてあるプラスチックの筆箱を指差した。

「その遺物アーティファクトから何か、感知したか?」
「いやしてないけど」

 俺の即答を意に介さず、筆箱を横目に興味津々に見ている天童さん。

 何があるってんだ。

 やれやれと次の授業の担当教諭が入ってきたのと同時に、俺は教科書とノートを出し、何気なく筆箱に触れたその時だった。

 ズン、グラウンドの方から音がしたと思えば、チカチカと教室の照明が明滅する。

「フン、来たか」

 天童さんは、窓の外を見て目を伏せる。それは漫画みたいな余裕だった。天童さんは俺の筆箱の中身を俺の机の上にバサバザと落とし、俺の「ちょっと待て……」という制止も聞かず、プラスチックのシンプルなケースを片手に窓の淵に立つ。

「天童!何をするつもりだ!非常事態だ、大人しくしていなさい!」

 教壇に立った教師は、天童さんの奇行に驚嘆しているようだ。だが、それも知らないふりをして、俺を見る。

「やはり、貴殿は同胞であったか。さあ、行こう。これから共に戦おうじゃないか」

 教室のどよめきの中、クリアにその声だけが聞こえた気がする。俺は、どうするべきか迷った。正直何が起こっているのか、理解不能だ。はく、と喉が鳴るのが分かる。彼女の手を取るべきか否か。それで、全て覆ってしまうような、そんな気がしたからだ。
この小説をシェア
このパートからの分岐 (1)
え、マジで飛んだ!?

「え、ちょ、天童さん!?」 俺が声を上げた瞬間、天童さんは窓から飛び降りた。 ここ、3階なんですけ...

あさり あさり
12/29 12:03
全階層の表示(5件)
第1話 転校生 レュー 0 90
・チャイムが鳴り、けだるい月曜日のホームルームが始まった。 担任の高木先生が、い...
第2話 彼女は中二病? あさり 0 34
・「よし、天童は神崎の横の空いてる席なー」 先生が適当に言う。 えっ、俺の隣!?マ...
第3話 天童ゆりあと兆候 澪月かんな。 0 35
・それから毎日。決まった時間、決まった不可解な行動をとる天童さんから俺は目が離せな...
第4話 え、マジで飛んだ!? あさり 0 25
・「え、ちょ、天童さん!?」 俺が声を上げた瞬間、天童さんは窓から飛び降りた。...
NEW 第2話 最初の違和感 蒼月(そうげつ) 0 33
・天童ゆりあの席は、俺の斜め前になった。 休み時間になると、案の定、女子たちが彼...
コメント
コメントを投稿するにはログインしてください。

ユーザー登録でみんつぐをもっと楽しもう!

お気に入りの小説の更新通知が届く

フォローした作家の新作をすぐに確認

好きな作品にいいね・コメント

感動を作者に直接届けられる

マイページで投稿を管理

自分の作品やいいねを一覧で確認

小説を書いてリレーに参加

新作を始めたり続きを自由に書ける

気になる作家をフォロー

好きな作家の新作をすぐチェック

分岐ツリーで展開を可視化

ストーリーの分岐を一目で確認

他にもみんつぐを楽しく便利に使う機能が充実!

無料で新規登録

すでにアカウントをお持ちの方は