翌週、俺は会社を休んだ。理由は体調不良と伝えた。本当は違う。
ただ、どう言葉にしたらいいか分からなかった。
……頭が妙に冴えている。
だというのに、目の奥がじんじん痛む。
たぶん、ずっと張りつめていた糸が切れかけているのだ。
このまま放っておけば、俺は二度と現実に戻れなくなる。そんな予感がしてしまう。
あの「ID:8297A4B1」。
照合申請を出せば、過去ログの閲覧もできる。
それは分かっていたが、俺は……まだその手続きをしていない。
怖かったのだ。
その記憶が「彼女の知らない一面」だったら。
俺の知らない彼女の人生だったら。
今、俺が大切に抱いているすべてが、崩れてしまう気がした。
だから、その日一日、俺はただ部屋の中を歩き回っていた。
冷蔵庫の音がする。時計の針の音。
郵便受けに入ったチラシ。
なんでもない生活の音が、やけにうるさく感じる。
スマートデバイスが点滅している。
未読通知がひとつ。
――自動同期された「外部記憶サーバー」からの更新だ。
ひとつ開いてみる。
再生ボタンを押す指が、かすかに震えた。
映像が始まる。
ただ、どう言葉にしたらいいか分からなかった。
……頭が妙に冴えている。
だというのに、目の奥がじんじん痛む。
たぶん、ずっと張りつめていた糸が切れかけているのだ。
このまま放っておけば、俺は二度と現実に戻れなくなる。そんな予感がしてしまう。
あの「ID:8297A4B1」。
照合申請を出せば、過去ログの閲覧もできる。
それは分かっていたが、俺は……まだその手続きをしていない。
怖かったのだ。
その記憶が「彼女の知らない一面」だったら。
俺の知らない彼女の人生だったら。
今、俺が大切に抱いているすべてが、崩れてしまう気がした。
だから、その日一日、俺はただ部屋の中を歩き回っていた。
冷蔵庫の音がする。時計の針の音。
郵便受けに入ったチラシ。
なんでもない生活の音が、やけにうるさく感じる。
スマートデバイスが点滅している。
未読通知がひとつ。
――自動同期された「外部記憶サーバー」からの更新だ。
ひとつ開いてみる。
再生ボタンを押す指が、かすかに震えた。
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