毒饅頭事件
制作者:
冬至梅
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 15話で完結
概要
アイデアだけ思いつきましたので、投下させていただきます。15話以内に真相を究明しましょう。
【ルール】
◆舞台は現代日本
◆キャラクター追加OK
【あらすじ】
繊維会社の社長宛に饅頭が届いた。社長は饅頭を常務に渡すが、口にした常務が死亡。饅頭には毒が仕込まれていた。
犯人は何者なのか。なぜ社長に毒饅頭を送りつけたのか。
【登場人物】
◆氷室慎一:警視庁の警部
◆大藤宗治:繊維会社の社長
◆桑原達也:繊維会社の常務/被害者
◆大藤玲子:大藤社長の妻
(原案:アントニー・バークリー『毒入りチョコレート事件』)
【ルール】
◆舞台は現代日本
◆キャラクター追加OK
【あらすじ】
繊維会社の社長宛に饅頭が届いた。社長は饅頭を常務に渡すが、口にした常務が死亡。饅頭には毒が仕込まれていた。
犯人は何者なのか。なぜ社長に毒饅頭を送りつけたのか。
【登場人物】
◆氷室慎一:警視庁の警部
◆大藤宗治:繊維会社の社長
◆桑原達也:繊維会社の常務/被害者
◆大藤玲子:大藤社長の妻
(原案:アントニー・バークリー『毒入りチョコレート事件』)
神崎修司は、名古屋駅から私鉄を乗り継ぎ、閑静な住宅街へとたどり着いた。
堀田正彦の自宅は、古いが手入れの行き届いた一軒家だった。庭には季節外れの菊が数輪、静かに咲いている。
「わざわざ東京から?まあ、どうぞお上がりください」
堀田は思ったより元気そうだった。72歳と聞いていたが、背筋は伸び、眼鏡の奥の目は鋭い。神崎を居間に通すと、妻らしき女性がお茶を運んできた。
「雅芳堂のことでお話を伺いたいんです。先代の中谷源蔵さんと、大藤宗治さんの関係について」
堀田は湯呑みを両手で包み、しばらく黙っていた。
「……源蔵さんと大藤さん、ね」
その声には、懐かしさとも苦さともつかない響きがあった。
「お二人は同郷だったと聞いています」
「ええ。新潟の小さな町でね。源蔵さんが五つ年上で、大藤さんは弟分みたいなもんでした。東京に出てきてからも、よく店に顔を出して、二人で酒を酌み交わしてましたよ」
堀田は遠くを見るような目になった。
「大藤さんが繊維の仕事で成功してからも、その関係は変わらなかった。偉くなっても、源蔵さんの前では昔のまんまでね。『兄貴、兄貴』って」
「その頃、大藤社長の奥様……玲子さんとも面識が?」
「ありましたよ」
堀田の声が、わずかに低くなった。
「玲子さんは……若い頃、うちで働いてたんです」
神崎の手が止まった。
「雅芳堂で?」
「ええ。短大を出て、和菓子に興味があるからって。住み込みで二年ほど。源蔵さんも気に入ってね、実の娘みたいに可愛がってた」
「それで大藤社長と……」
「そう。大藤さんが店に来るたび、玲子さんがお茶を出してた。自然とそうなったんでしょうな」
堀田は湯呑みを置き、深く息をついた。
「源蔵さんは喜んでましたよ。弟分と、娘同然の子が一緒になるんだから。結婚式の仲人も引き受けて」
「当時、他に従業員の方は?」
「私の他には……ああ、アルバイトの子が一人いましたね。梶君っていう大学生で」
「梶君」
「ええ。真面目な子でね。玲子さんとは歳が近かったから、よく話してました。仕事の後に二人で遅くまで残って、菓子の試作をしてるのを見たこともある」
堀田は思い出すように天井を見上げた。
「玲子さんが結婚して店を辞める時、梶君もちょうど就職が決まって出ていった。それっきりですね」
「その梶さんは、今どちらに?」
「さあ……」
堀田は首を横に振った。
「まったく分かりません。連絡先も知らないし、その後どうなったかも。もう三十年近く前の話ですから」
神崎は手帳に「梶」と書き留めた。
「では、この便箋についてお聞きします」
鑑識が撮影した便箋の写真を差し出す。堀田は眼鏡を押し上げ、写真を覗き込んだ。
その瞬間、堀田の顔色が変わった。
「……これは」
「ご存知ですか」
堀田は写真を持つ手を、かすかに震わせていた。
「これは……玲子さんがデザインしたもんです」
「玲子さんが?」
「結婚が決まった時にね。源蔵さんへの感謝の気持ちを込めて、自分で絵を描いて。『雅芳堂の便箋に使ってください』って」
堀田は写真から目を離さなかった。
「源蔵さん、泣いて喜んでましたよ。『これからは、この便箋で大事な手紙を書く』って。それ以来、雅芳堂の正式な便箋になったんです」
神崎は息を呑んだ。被害者に送られた毒饅頭には、その便箋が添えられていた。玲子がデザインした、三人の絆の証が。
「……しかし、なぜこれが事件に」
堀田の声は掠れていた。
「一年前に使用をやめたと聞いています。理由をご存知ですか」
「よし江さん……今の店主が、店の刷新を進めていてね。古いものは順番に変えていくって。便箋もその一つだったんでしょう」
堀田は写真を神崎に返し、窓の外に目を向けた。
「源蔵さんが亡くなって十五年。大藤さんと玲子さんが離婚調停中だって話は、風の便りに聞いてます。あの頃を知ってる者としては……寂しいもんですな」
神崎は礼を言い、堀田の家を後にした。
駅へ向かう道すがら、神崎の頭の中で情報が組み上がっていく。
玲子がデザインした便箋。三人の絆を象徴するもの。それを使って毒饅頭を送った犯人は、この過去を知っている人間だ。
そして、もう一人。玲子と親しかったというアルバイトの梶。今どこで何をしているのか、誰も知らない。
神崎はスマートフォンを取り出し、氷室警部に報告を入れた。
「……警部。玲子さんの渡米時期と、源蔵さんが亡くなった時の状況を調べてください。それと、当時雅芳堂でアルバイトをしていた『梶』という人物の行方も」
通話を終え、神崎は足を速めた。
名古屋の冬空は、重く曇っていた。
堀田正彦の自宅は、古いが手入れの行き届いた一軒家だった。庭には季節外れの菊が数輪、静かに咲いている。
「わざわざ東京から?まあ、どうぞお上がりください」
堀田は思ったより元気そうだった。72歳と聞いていたが、背筋は伸び、眼鏡の奥の目は鋭い。神崎を居間に通すと、妻らしき女性がお茶を運んできた。
「雅芳堂のことでお話を伺いたいんです。先代の中谷源蔵さんと、大藤宗治さんの関係について」
堀田は湯呑みを両手で包み、しばらく黙っていた。
「……源蔵さんと大藤さん、ね」
その声には、懐かしさとも苦さともつかない響きがあった。
「お二人は同郷だったと聞いています」
「ええ。新潟の小さな町でね。源蔵さんが五つ年上で、大藤さんは弟分みたいなもんでした。東京に出てきてからも、よく店に顔を出して、二人で酒を酌み交わしてましたよ」
堀田は遠くを見るような目になった。
「大藤さんが繊維の仕事で成功してからも、その関係は変わらなかった。偉くなっても、源蔵さんの前では昔のまんまでね。『兄貴、兄貴』って」
「その頃、大藤社長の奥様……玲子さんとも面識が?」
「ありましたよ」
堀田の声が、わずかに低くなった。
「玲子さんは……若い頃、うちで働いてたんです」
神崎の手が止まった。
「雅芳堂で?」
「ええ。短大を出て、和菓子に興味があるからって。住み込みで二年ほど。源蔵さんも気に入ってね、実の娘みたいに可愛がってた」
「それで大藤社長と……」
「そう。大藤さんが店に来るたび、玲子さんがお茶を出してた。自然とそうなったんでしょうな」
堀田は湯呑みを置き、深く息をついた。
「源蔵さんは喜んでましたよ。弟分と、娘同然の子が一緒になるんだから。結婚式の仲人も引き受けて」
「当時、他に従業員の方は?」
「私の他には……ああ、アルバイトの子が一人いましたね。梶君っていう大学生で」
「梶君」
「ええ。真面目な子でね。玲子さんとは歳が近かったから、よく話してました。仕事の後に二人で遅くまで残って、菓子の試作をしてるのを見たこともある」
堀田は思い出すように天井を見上げた。
「玲子さんが結婚して店を辞める時、梶君もちょうど就職が決まって出ていった。それっきりですね」
「その梶さんは、今どちらに?」
「さあ……」
堀田は首を横に振った。
「まったく分かりません。連絡先も知らないし、その後どうなったかも。もう三十年近く前の話ですから」
神崎は手帳に「梶」と書き留めた。
「では、この便箋についてお聞きします」
鑑識が撮影した便箋の写真を差し出す。堀田は眼鏡を押し上げ、写真を覗き込んだ。
その瞬間、堀田の顔色が変わった。
「……これは」
「ご存知ですか」
堀田は写真を持つ手を、かすかに震わせていた。
「これは……玲子さんがデザインしたもんです」
「玲子さんが?」
「結婚が決まった時にね。源蔵さんへの感謝の気持ちを込めて、自分で絵を描いて。『雅芳堂の便箋に使ってください』って」
堀田は写真から目を離さなかった。
「源蔵さん、泣いて喜んでましたよ。『これからは、この便箋で大事な手紙を書く』って。それ以来、雅芳堂の正式な便箋になったんです」
神崎は息を呑んだ。被害者に送られた毒饅頭には、その便箋が添えられていた。玲子がデザインした、三人の絆の証が。
「……しかし、なぜこれが事件に」
堀田の声は掠れていた。
「一年前に使用をやめたと聞いています。理由をご存知ですか」
「よし江さん……今の店主が、店の刷新を進めていてね。古いものは順番に変えていくって。便箋もその一つだったんでしょう」
堀田は写真を神崎に返し、窓の外に目を向けた。
「源蔵さんが亡くなって十五年。大藤さんと玲子さんが離婚調停中だって話は、風の便りに聞いてます。あの頃を知ってる者としては……寂しいもんですな」
神崎は礼を言い、堀田の家を後にした。
駅へ向かう道すがら、神崎の頭の中で情報が組み上がっていく。
玲子がデザインした便箋。三人の絆を象徴するもの。それを使って毒饅頭を送った犯人は、この過去を知っている人間だ。
そして、もう一人。玲子と親しかったというアルバイトの梶。今どこで何をしているのか、誰も知らない。
神崎はスマートフォンを取り出し、氷室警部に報告を入れた。
「……警部。玲子さんの渡米時期と、源蔵さんが亡くなった時の状況を調べてください。それと、当時雅芳堂でアルバイトをしていた『梶』という人物の行方も」
通話を終え、神崎は足を速めた。
名古屋の冬空は、重く曇っていた。
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