カナトとサンタの村
制作者:
冬至梅
小説設定:
|
連続投稿: 不可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 25話で完結
概要
12月ですので、クリスマスをテーマにした物語を考案してみました。
どうぞお気軽にご参加ください。
【あらすじ】
北極にあるサンタクロースの村。
この年のクリスマス、サンタクロースは世界中の「いい子」のうち三人に届くチケットを作りました。手にした子どもはクリスマスイブにサンタの村に招待され、「その子にとって一番素晴らしいプレゼント」を受け取れるのです。
【主人公】
聖沢カナト:11歳の物静かな少年。両親が離婚調停中で、母親の実家で寂しいクリスマスを迎えようとしている。
どうぞお気軽にご参加ください。
【あらすじ】
北極にあるサンタクロースの村。
この年のクリスマス、サンタクロースは世界中の「いい子」のうち三人に届くチケットを作りました。手にした子どもはクリスマスイブにサンタの村に招待され、「その子にとって一番素晴らしいプレゼント」を受け取れるのです。
【主人公】
聖沢カナト:11歳の物静かな少年。両親が離婚調停中で、母親の実家で寂しいクリスマスを迎えようとしている。
銀色の円盤は、想像していたような轟音を立てることもなく、滑るように夜空を移動しました。窓の外を流れる星の速さに、カナトはここが日常から切り離された場所なのだと改めて思い知らされます。
ふいに、機体がぐっと速度を落としました。
「おっと、二人目のお客様だね」
エルフが操作パネルを叩くと、足元のハッチが音もなく開きます。
流れ込んできたのは、南国の湿った風と、元気な叫び声でした。
「うっひょー!マジかよ、すっげえ!」
飛び込んできたのは、半袖短パン姿の男の子でした。日に焼けた肌に、バンダナを巻いています。年齢はカナトと同じくらいでしょうか。彼は円盤の中を見渡すなり、目をキラキラと輝かせました。
「これUFO?お前が宇宙人?あ、俺リク!サッカーの合宿中だったんだけど、トイレに行ったらチケットが光ってさあ!」
「はいはい、リク君ね。座って座って。シートベルト着用よ!」
エルフが呆れたように言いますが、リクと呼ばれた少年は止まりません。
「君もチケット持ってるの?どこから来たの?俺、沖縄!」
カナトが圧倒されて小さく頷くと、リクはニカっと笑って隣の席にドカッと座り込みました。人見知りをして大人しいカナトはリクの明るさに助かる気持ちでした。
再び円盤が加速し、そしてまた減速します。
「さてっと、最後の一人。…おや、ちょっと手こずりそうね」
エルフがモニターを覗き込みながら呟きました。
扉が開いた先は、雪の降る石畳の街でした。
けれど、誰も入ってきません。
「…やだ、こわい…」
細く震える声が聞こえました。エルフが「時間ないんよー」と困った顔で手招きをします。
躊躇いながら入ってきたのは、白いコートに身を包んだ小さな女の子でした。長い髪は整えられていますが、その目は涙で濡れています。
「お母さま……」
彼女――エマは、席に座るなり、膝を抱えてシクシクと泣き出してしまいました。
「すげえ、フランス人形みたいだな」
リクが不用意に声をかけると、エマはさらに体を縮こまらせてしまいます。
「うわ、泣かせちゃった?」
「……静かにしてあげて」
カナトは思わず、小さな声でそう言っていました。自分でも驚くほど自然に言葉が出ました。見知らぬ場所へ連れ去られる恐怖は、カナトにも痛いほど分かったからです。
泣きじゃくるエマ、計器を触りたくてうずうずしているリク、それを必死に制御するエルフ。船内は一気に騒がしくなりました。
カナトはため息をつきながらも、ポケットの中のチケットを握りしめました。
(一人じゃないんだ)
その事実は、不思議な安堵感を連れてきました。
「ほら、着くよ!窓の外を見てみんしゃい!」
エルフの声に、三人は顔を上げました。
窓の外には、夜空を覆い尽くす光のカーテン――オーロラが揺らめいていました。
「うわぁ……」
リクが声を上げ、エマも涙を止めて窓に張り付きます。カナトもまた、その幻想的な光景に言葉を失いました。
「ようこそ、サンタクロースの村へ」
円盤はゆっくりと、その光の中へと降りていきました。
ふいに、機体がぐっと速度を落としました。
「おっと、二人目のお客様だね」
エルフが操作パネルを叩くと、足元のハッチが音もなく開きます。
流れ込んできたのは、南国の湿った風と、元気な叫び声でした。
「うっひょー!マジかよ、すっげえ!」
飛び込んできたのは、半袖短パン姿の男の子でした。日に焼けた肌に、バンダナを巻いています。年齢はカナトと同じくらいでしょうか。彼は円盤の中を見渡すなり、目をキラキラと輝かせました。
「これUFO?お前が宇宙人?あ、俺リク!サッカーの合宿中だったんだけど、トイレに行ったらチケットが光ってさあ!」
「はいはい、リク君ね。座って座って。シートベルト着用よ!」
エルフが呆れたように言いますが、リクと呼ばれた少年は止まりません。
「君もチケット持ってるの?どこから来たの?俺、沖縄!」
カナトが圧倒されて小さく頷くと、リクはニカっと笑って隣の席にドカッと座り込みました。人見知りをして大人しいカナトはリクの明るさに助かる気持ちでした。
再び円盤が加速し、そしてまた減速します。
「さてっと、最後の一人。…おや、ちょっと手こずりそうね」
エルフがモニターを覗き込みながら呟きました。
扉が開いた先は、雪の降る石畳の街でした。
けれど、誰も入ってきません。
「…やだ、こわい…」
細く震える声が聞こえました。エルフが「時間ないんよー」と困った顔で手招きをします。
躊躇いながら入ってきたのは、白いコートに身を包んだ小さな女の子でした。長い髪は整えられていますが、その目は涙で濡れています。
「お母さま……」
彼女――エマは、席に座るなり、膝を抱えてシクシクと泣き出してしまいました。
「すげえ、フランス人形みたいだな」
リクが不用意に声をかけると、エマはさらに体を縮こまらせてしまいます。
「うわ、泣かせちゃった?」
「……静かにしてあげて」
カナトは思わず、小さな声でそう言っていました。自分でも驚くほど自然に言葉が出ました。見知らぬ場所へ連れ去られる恐怖は、カナトにも痛いほど分かったからです。
泣きじゃくるエマ、計器を触りたくてうずうずしているリク、それを必死に制御するエルフ。船内は一気に騒がしくなりました。
カナトはため息をつきながらも、ポケットの中のチケットを握りしめました。
(一人じゃないんだ)
その事実は、不思議な安堵感を連れてきました。
「ほら、着くよ!窓の外を見てみんしゃい!」
エルフの声に、三人は顔を上げました。
窓の外には、夜空を覆い尽くす光のカーテン――オーロラが揺らめいていました。
「うわぁ……」
リクが声を上げ、エマも涙を止めて窓に張り付きます。カナトもまた、その幻想的な光景に言葉を失いました。
「ようこそ、サンタクロースの村へ」
円盤はゆっくりと、その光の中へと降りていきました。
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