カナトとサンタの村
制作者:
冬至梅
小説設定:
|
連続投稿: 不可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 25話で完結
概要
12月ですので、クリスマスをテーマにした物語を考案してみました。
どうぞお気軽にご参加ください。
【あらすじ】
北極にあるサンタクロースの村。
この年のクリスマス、サンタクロースは世界中の「いい子」のうち三人に届くチケットを作りました。手にした子どもはクリスマスイブにサンタの村に招待され、「その子にとって一番素晴らしいプレゼント」を受け取れるのです。
【主人公】
聖沢カナト:11歳の物静かな少年。両親が離婚調停中で、母親の実家で寂しいクリスマスを迎えようとしている。
どうぞお気軽にご参加ください。
【あらすじ】
北極にあるサンタクロースの村。
この年のクリスマス、サンタクロースは世界中の「いい子」のうち三人に届くチケットを作りました。手にした子どもはクリスマスイブにサンタの村に招待され、「その子にとって一番素晴らしいプレゼント」を受け取れるのです。
【主人公】
聖沢カナト:11歳の物静かな少年。両親が離婚調停中で、母親の実家で寂しいクリスマスを迎えようとしている。
「カナト、少し痩せた?」
おばあちゃんが、煮物をお代わりする手を止めて、優しく眉を寄せました。
「……うん、大丈夫」
カナトは曖昧に答えて、茶碗に目を落としました。本当は、最近あまり食欲がなかったのです。学校でも給食を残すことが多くなっていました。
おばあちゃんは何も言わず、もう一つ里いもをカナトの小皿に乗せました。ほっくりとした湯気が立ち上ります。
「お母さんからは、また連絡あった?」
「うん。明日電話するって」
実際には三日前の約束でしたが、カナトは嘘をつきました。母は仕事と調停の準備で忙しく、電話の時間さえなかなか取れないのです。それを責めるつもりはありませんでした。ただ、心のどこかで──ああ、やっぱりな、と思っている自分がいました。
おじいちゃんは相変わらず無言で箸を動かしています。でも、時々こちらに目を向けているのが分かります。心配しているのでしょう。ただ、言葉にするのが苦手な人なのです。
カナトはポケットの中のカードに、そっと手を当てました。温かい。
──これは何だろう。
不思議と、そのことを考えると、胸の奥にあった重い霧が少しだけ晴れる気がしました。
「ごちそうさまでした」
カナトが立ち上がると、おばあちゃんが「お風呂、先に入っておいで」と声をかけました。
部屋に戻る途中、カナトは廊下の窓から夜空を見上げました。雲が切れて、星がいくつか見えています。
そういえば、あのカードが落ちてきたのも、あの雲の切れ間からでした。
カナトは自分の部屋に入ると、カードを布団の上に置いて、じっくりと眺めました。金色の光は、部屋の電灯の下でも、まるで内側から輝いているように見えます。
『特別招待状──聖沢カナト様へ』
それから、日付と場所が書かれています。
『12月24日 午後8時 北極 サンタクロースの村』
カナトは思わず、ふっと小さく笑いました。
「サンタクロース、か……」
そんなもの、もう信じていませんでした。
でも、このカードの温もりは本物です。
そして、自分の名前が書かれているのも、確かです。
カナトは静かに目を閉じました。
もしも──。
もしも、これが本物だったら。
おばあちゃんが、煮物をお代わりする手を止めて、優しく眉を寄せました。
「……うん、大丈夫」
カナトは曖昧に答えて、茶碗に目を落としました。本当は、最近あまり食欲がなかったのです。学校でも給食を残すことが多くなっていました。
おばあちゃんは何も言わず、もう一つ里いもをカナトの小皿に乗せました。ほっくりとした湯気が立ち上ります。
「お母さんからは、また連絡あった?」
「うん。明日電話するって」
実際には三日前の約束でしたが、カナトは嘘をつきました。母は仕事と調停の準備で忙しく、電話の時間さえなかなか取れないのです。それを責めるつもりはありませんでした。ただ、心のどこかで──ああ、やっぱりな、と思っている自分がいました。
おじいちゃんは相変わらず無言で箸を動かしています。でも、時々こちらに目を向けているのが分かります。心配しているのでしょう。ただ、言葉にするのが苦手な人なのです。
カナトはポケットの中のカードに、そっと手を当てました。温かい。
──これは何だろう。
不思議と、そのことを考えると、胸の奥にあった重い霧が少しだけ晴れる気がしました。
「ごちそうさまでした」
カナトが立ち上がると、おばあちゃんが「お風呂、先に入っておいで」と声をかけました。
部屋に戻る途中、カナトは廊下の窓から夜空を見上げました。雲が切れて、星がいくつか見えています。
そういえば、あのカードが落ちてきたのも、あの雲の切れ間からでした。
カナトは自分の部屋に入ると、カードを布団の上に置いて、じっくりと眺めました。金色の光は、部屋の電灯の下でも、まるで内側から輝いているように見えます。
『特別招待状──聖沢カナト様へ』
それから、日付と場所が書かれています。
『12月24日 午後8時 北極 サンタクロースの村』
カナトは思わず、ふっと小さく笑いました。
「サンタクロース、か……」
そんなもの、もう信じていませんでした。
でも、このカードの温もりは本物です。
そして、自分の名前が書かれているのも、確かです。
カナトは静かに目を閉じました。
もしも──。
もしも、これが本物だったら。
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