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カナトとサンタの村

制作者: 冬至梅
小説設定: | 連続投稿: 不可 | 投稿権限: 全員 | 完結数: 25話で完結

概要

第4話 期待と希望
あさり
2025年12月09日 16:33 | 62
「カナト、少し痩せた?」

おばあちゃんが、煮物をお代わりする手を止めて、優しく眉を寄せました。

「……うん、大丈夫」

カナトは曖昧に答えて、茶碗に目を落としました。本当は、最近あまり食欲がなかったのです。学校でも給食を残すことが多くなっていました。

おばあちゃんは何も言わず、もう一つ里いもをカナトの小皿に乗せました。ほっくりとした湯気が立ち上ります。

「お母さんからは、また連絡あった?」

「うん。明日電話するって」

実際には三日前の約束でしたが、カナトは嘘をつきました。母は仕事と調停の準備で忙しく、電話の時間さえなかなか取れないのです。それを責めるつもりはありませんでした。ただ、心のどこかで──ああ、やっぱりな、と思っている自分がいました。

おじいちゃんは相変わらず無言で箸を動かしています。でも、時々こちらに目を向けているのが分かります。心配しているのでしょう。ただ、言葉にするのが苦手な人なのです。

カナトはポケットの中のカードに、そっと手を当てました。温かい。

──これは何だろう。

不思議と、そのことを考えると、胸の奥にあった重い霧が少しだけ晴れる気がしました。

「ごちそうさまでした」

カナトが立ち上がると、おばあちゃんが「お風呂、先に入っておいで」と声をかけました。

部屋に戻る途中、カナトは廊下の窓から夜空を見上げました。雲が切れて、星がいくつか見えています。

そういえば、あのカードが落ちてきたのも、あの雲の切れ間からでした。

カナトは自分の部屋に入ると、カードを布団の上に置いて、じっくりと眺めました。金色の光は、部屋の電灯の下でも、まるで内側から輝いているように見えます。

『特別招待状──聖沢カナト様へ』

それから、日付と場所が書かれています。

『12月24日 午後8時 北極 サンタクロースの村』

カナトは思わず、ふっと小さく笑いました。

「サンタクロース、か……」

そんなもの、もう信じていませんでした。

でも、このカードの温もりは本物です。
そして、自分の名前が書かれているのも、確かです。

カナトは静かに目を閉じました。

もしも──。

もしも、これが本物だったら。
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このパートからの分岐 (1)
12月24日の夕方

それから三日間はとても静かでした。カナトはこたつに足を入れて冬休みの宿題をしたり、持ってきていた漫画...

冬至梅 冬至梅
12/09 18:46
全階層の表示(9件)
第1話 三枚のチケット 冬至梅 0 76
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第2話 空から落ちてきた招待状 あさり 1 67
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第3話 茶色い食卓 冬至梅 0 57
・家に入ると、台所から煮物の香りがふわりと漂い、カナトはおばあちゃんと無口なおじい...
第4話 期待と希望 あさり 1 63
・「カナト、少し痩せた?」 おばあちゃんが、煮物をお代わりする手を止めて、優しく...
第5話 12月24日の夕方 冬至梅 0 59
・それから三日間はとても静かでした。カナトはこたつに足を入れて冬休みの宿題をしたり...
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