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カナトとサンタの村

制作者: 冬至梅
小説設定: | 連続投稿: 不可 | 投稿権限: 全員 | 完結数: 25話で完結

概要

第9話 円盤の故障
冬至梅
2025年12月16日 09:50 | 45
その時でした。円盤が、ふっと重さを失ったように揺れ、ゆっくりと高度を下げ始めたのです。「……あれ?」とエルフが眉をひそめ、計器を覗き込みました。

「円盤の高度が下がってるぞ? ちょっといっぺん止まるわ!」

 操作音が短く鳴り、機体は柔らかな振動とともに、白い丘のてっぺんへ着陸しました。扉が開くと、冷たい空気が一気に流れ込みます。遠くには、あたたかな明かりが点々と連なる村が見えました。風に乗って、お菓子のような甘い匂いが微かに漂ってきます。

「はいはいはい! ちょっくら降りて!」

 促されて外に出ると、靴底から雪の冷たさが伝わりました。エルフは円盤の周りを忙しく歩き、金属に手を当てたり、耳を近づけたりしています。

「……あー、ちくしょう! フローターにヒビが入ってやがるわ!」

「つまり、もう飛べねーの?」とリクが目を丸くします。

「この状態で飛んだら、村に着く前に墜落するね。いやー、困った……ここからサンタの村まで、結構距離があんのに……」

 そのとき、ちりん、ちりん、と澄んだ鈴の音が風に乗って届きました。丘の下の小道を、トナカイのソリが進んでいるのが見えます。エルフはぱっと顔を上げ、丘を駆け降りました。
 ソリの手綱を握っていたのは、もう一人のエルフでした。

「おーい、W!」

「どったの、E?」

 二人は身振り手振りで何やら話し、カナトたちにも緊張が伝わってきます。やがてEがこちらを振り返り、手招きしました。

「おーい! こっちこっち!」

 丘を下りると、ソリの近くはわらまきの匂いが濃く漂っています。Eは事情を手短に説明しました。

「悪いけどね、こっから先はこいつのソリに乗ってくんな。ま、歩いて行くよりはマシっしょ。あっしはここで円盤を直してるからよ」

 Wがにっと笑い、ソリの後ろを指しました。そこには薪が山のように積まれています。

 カナト、リク、エマはその上に腰を下ろしました。

「落ちないように気をつけてな」とWが声をかけ、手綱を引きました。

 鈴が再び鳴り、ソリは音を立てて進み始めます。カナトは胸の奥に、小さな不安と、それ以上に確かな期待が灯るのを感じながら、白い道の先を見つめていました。
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