シーン、と大広間が静まり返った。 まるで舞台の幕が上がったみたいに、全員の視線が、隅っこでモジモジしている彼女に突き刺さる。スポットライトは、今、彼女のものだ。
「……なんだと?」 中津川警部が、私と彼女を交互に見比べながら、唸るような声を出した。
「あ、あのっ」 彼女はオドオドと一歩前に出た。 「私、昨日の夜、桐谷さんと大広間で……お酒、ご一緒しました。温泉ソムリエの話とか……」
「なんですって?」 今度は私が叫ぶ番だった。
「あら?」 桐谷さんがパチパチと瞬きをしながら、新しい彼女の顔をじーっと覗き込む。 「あらあらあら?……本当だわ。こっちの子も左頬にホクロがあるじゃない」
「桐谷さん!」 中津川警部が地響きのような声で迫った。 「あなたが一緒にいたのは!この朝霧遥なのか!それとも、そっちの女なのか!どっちだ!」
「ええ~?」 桐谷さんは、こめかみに人差し指をあてて、少し悩むそぶりを見せた後、あっけらかんと言い放った。 「さあ?どっちだったかしら。お酒飲んじゃってたから、どっちも同じに見えちゃったわねえ!」
「ええええええええ!?」 私、本日何度目かの絶叫。というか、それアリ!?アリバイ証言、全撤回じゃないですか!
「ふ、ふざけるなあっ!」警部が本気でキレそうだ。「証人失格だ!君は!」
「まあ、ひどい。本当のことなのに」 桐谷さんはプイッとそっぽを向いた。自由すぎる。
「おい、君!」 警部のターゲットが、再び私にそっくり(?)な彼女に移った。 「名前を言え!」
「は、はいっ」 彼女はビクッと肩を震わせた。 「あ……朝霧……ハルカ、です」
「「え?」」 私と警部の声が、綺麗にハモった。
「……朝霧?」警部が怪訝な顔で聞き返す。「遥か?」 「いえ、違います!」 彼女は慌てて首を振った。 「朝霧は同じなんですけど……ハルカは、太陽の『陽』に、香水の『香』で、陽香です!」
……アサギリハルカ。 漢字違いの同姓同名!?
「…………」
中津川警部が、私と、もう一人のアサギリハルカを、交互に、何度も、指差した。 そして、全ての怒りを込めた声で、叫んだ。
「貴様ら、グルか!!」
いや、だから私じゃないって!
「……なんだと?」 中津川警部が、私と彼女を交互に見比べながら、唸るような声を出した。
「あ、あのっ」 彼女はオドオドと一歩前に出た。 「私、昨日の夜、桐谷さんと大広間で……お酒、ご一緒しました。温泉ソムリエの話とか……」
「なんですって?」 今度は私が叫ぶ番だった。
「あら?」 桐谷さんがパチパチと瞬きをしながら、新しい彼女の顔をじーっと覗き込む。 「あらあらあら?……本当だわ。こっちの子も左頬にホクロがあるじゃない」
「桐谷さん!」 中津川警部が地響きのような声で迫った。 「あなたが一緒にいたのは!この朝霧遥なのか!それとも、そっちの女なのか!どっちだ!」
「ええ~?」 桐谷さんは、こめかみに人差し指をあてて、少し悩むそぶりを見せた後、あっけらかんと言い放った。 「さあ?どっちだったかしら。お酒飲んじゃってたから、どっちも同じに見えちゃったわねえ!」
「ええええええええ!?」 私、本日何度目かの絶叫。というか、それアリ!?アリバイ証言、全撤回じゃないですか!
「ふ、ふざけるなあっ!」警部が本気でキレそうだ。「証人失格だ!君は!」
「まあ、ひどい。本当のことなのに」 桐谷さんはプイッとそっぽを向いた。自由すぎる。
「おい、君!」 警部のターゲットが、再び私にそっくり(?)な彼女に移った。 「名前を言え!」
「は、はいっ」 彼女はビクッと肩を震わせた。 「あ……朝霧……ハルカ、です」
「「え?」」 私と警部の声が、綺麗にハモった。
「……朝霧?」警部が怪訝な顔で聞き返す。「遥か?」 「いえ、違います!」 彼女は慌てて首を振った。 「朝霧は同じなんですけど……ハルカは、太陽の『陽』に、香水の『香』で、陽香です!」
……アサギリハルカ。 漢字違いの同姓同名!?
「…………」
中津川警部が、私と、もう一人のアサギリハルカを、交互に、何度も、指差した。 そして、全ての怒りを込めた声で、叫んだ。
「貴様ら、グルか!!」
いや、だから私じゃないって!
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