朝霧 遥の湯けむり事件簿

制作者: あさり ラノベ風
小説設定: | 連続投稿: | 投稿権限: 全員

概要

第5話 スポットライトは誰に?
Zelt
2025年11月04日 13:11
シーン、と大広間が静まり返った。 まるで舞台の幕が上がったみたいに、全員の視線が、隅っこでモジモジしている彼女に突き刺さる。スポットライトは、今、彼女のものだ。

「……なんだと?」 中津川警部が、私と彼女を交互に見比べながら、唸るような声を出した。

「あ、あのっ」 彼女はオドオドと一歩前に出た。 「私、昨日の夜、桐谷さんと大広間で……お酒、ご一緒しました。温泉ソムリエの話とか……」

「なんですって?」 今度は私が叫ぶ番だった。

「あら?」 桐谷さんがパチパチと瞬きをしながら、新しい彼女の顔をじーっと覗き込む。 「あらあらあら?……本当だわ。こっちの子も左頬にホクロがあるじゃない」

「桐谷さん!」 中津川警部が地響きのような声で迫った。 「あなたが一緒にいたのは!この朝霧遥なのか!それとも、そっちの女なのか!どっちだ!」

「ええ~?」 桐谷さんは、こめかみに人差し指をあてて、少し悩むそぶりを見せた後、あっけらかんと言い放った。 「さあ?どっちだったかしら。お酒飲んじゃってたから、どっちも同じに見えちゃったわねえ!」

「ええええええええ!?」 私、本日何度目かの絶叫。というか、それアリ!?アリバイ証言、全撤回じゃないですか!

「ふ、ふざけるなあっ!」警部が本気でキレそうだ。「証人失格だ!君は!」

「まあ、ひどい。本当のことなのに」 桐谷さんはプイッとそっぽを向いた。自由すぎる。

「おい、君!」 警部のターゲットが、再び私にそっくり(?)な彼女に移った。 「名前を言え!」

「は、はいっ」 彼女はビクッと肩を震わせた。 「あ……朝霧……ハルカ、です」

「「え?」」 私と警部の声が、綺麗にハモった。

「……朝霧?」警部が怪訝な顔で聞き返す。「遥か?」 「いえ、違います!」 彼女は慌てて首を振った。 「朝霧は同じなんですけど……ハルカは、太陽の『陽』に、香水の『香』で、陽香です!」

……アサギリハルカ。 漢字違いの同姓同名!?

「…………」

中津川警部が、私と、もう一人のアサギリハルカを、交互に、何度も、指差した。 そして、全ての怒りを込めた声で、叫んだ。

「貴様ら、グルか!!」

いや、だから私じゃないって!
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カニは正義!

「貴様ら、グルか!!」 中津川警部の怒鳴り声が、温泉宿の大広間に響き渡る。 私(朝霧 遥)と、も...

レュー レュー
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「貴様ら、グルか!!」 中津川警部の怒鳴り声が、温泉宿の大広間に響き渡る。 私(朝霧 遥)と、も...

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「「いただきまーす!!」」 私(朝霧 遥)と陽香さんの声が、またまたハモった! 私たちは、食堂のテ...

あさり 0
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