朝霧 遥の湯けむり事件簿

制作者: あさり ラノベ風
小説設定: | 連続投稿: | 投稿権限: 全員

概要

第7話 飛んでけ!カニの殻!
あさり
2025年11月11日 15:40
「「いただきまーす!!」」

私(朝霧 遥)と陽香さんの声が、またまたハモった!
私たちは、食堂のテーブルでカニと熱い戦いを繰り広げていた。

「陽香さん、そっちのカニ味噌すごい色してません!?」
「遥さんこそ!そのカニ脚、めっちゃ太くないですか!?」
「「やばーい!」」

さっきまで殺人事件の容疑者だったなんてウソみたい!
私たち、あっという間に意気投合しちゃった。だって、同じ「アサギリハルカ」だし、カニ好きだし! これも何かの縁だよね!

「こ、貴様ら……よくものうのうと……」

背後から怨念のこもった声が聞こえて、ビクッと振り返ると、そこには鬼の形相の中津川警部が立っていた。

「あ、警部さん!お疲れ様です!カニ、めっちゃ美味しいですよ!」
私がカニ脚を振って見せると、警部のこめかみがピクピクしてる。

「食べません!私は捜査を……!」
「はい、警部さん。特大タラバ、剥いときましたわよ」
女将さんが、山盛りのカニの身が乗ったお皿をスッと差し出した。

「……っ」
警部の喉がゴクリと鳴った。
……数分後。

「(もぐもぐ)……それでだ、朝霧 遥。君たちのアリバイはまだはっきりしていない(もぐもぐ)」
警部、めっちゃ食べてるし!

「だーかーらー、私じゃないですって!」
私はそう言いながら、カニの脚を折って、身を取り出そうとした。
でも、これが結構かたい!

「んんーーっ!」
力を込めた、その瞬間!

パキーン!

「「あ」」
私と陽香さんの声がハモった。(本日三度目)

カニの殻の先端が、ものすごい勢いで……飛んでった!
放物線を描いて、食堂の隅っこで黙々とカニを食べていた、長髪でちょっと暗そうな男の人の……おでこに、クリーンヒット!

ピタッ。
食堂の全員の動きが止まった。カニを食べる音も止まった。

ゆっくりと、その男の人がこっちを向く。
目が、めっちゃ座ってる……。

「ひっ!す、すみません!わざとじゃな、くて!」

「……うるさい」
地を這うような低い声。
「人が、カニに集中してる時に……」

「ご、ごめんなさーい!」

「……それより」
男の人は、おでこに当たったカニの殻を指で弾き飛ばした。
「そんなことより、昨日の夜、うるさかったよな」

「え?」警部が反応した。カニの身を口に運びかけたまま固まってる。

「被害者の部屋……隣だったんだよ、俺」
男は面倒くさそうに頭をかきながら言った。

「夜中に、誰かとデカい声で言い争ってたぜ。『金返せ』だの『約束が違う』だの……」

食堂中の視線が、警部を通り越して、その男の人に集中した。

え?
ええええええええ!?

それって、超・重・要・情・報じゃない!?
この小説をシェア
感想
感想を投稿するにはログインしてください。

ユーザー登録でみんつぐをもっと楽しもう!

お気に入りの小説の更新通知が届く

フォローした作家の新作をすぐに確認

好きな作品にいいね・コメント

感動を作者に直接届けられる

マイページで投稿を管理

自分の作品やいいねを一覧で確認

小説を書いてリレーに参加

新作を始めたり続きを自由に書ける

気になる作家をフォロー

好きな作家の新作をすぐチェック

分岐ツリーで展開を可視化

ストーリーの分岐を一目で確認

他にもみんつぐを楽しく便利に使う機能が充実!

無料で新規登録

すでにアカウントをお持ちの方は ログイン