「貴様ら、グルか!!」
中津川警部の怒鳴り声が、温泉宿の大広間に響き渡る。
私(朝霧 遥)と、もう一人の私(朝霧 陽香さん)は、顔を見合わせて、同時に叫んだ。
「「グルじゃありません!!」」
わ、ハモった!
でも、そんな息ピッタリな感じが、さらに警部のイライラを加速させたみたい。
「同じ名前!同じホクロ!こんな偶然があるわけないだろうが!」
「いや、でも、本当に初対面なんですってば!」
「そ、そうです!私も、この方とは今、ここで……」
私と陽香さんが必死に言い訳すればするほど、警部の目はどんどん据わっていく。こわい!
もうダメだ、このままじゃ二人まとめて逮捕されちゃう!
大広間の空気は最悪。他のお客さんたちも、遠巻きに私たちを見てヒソヒソしてる。
桐谷さんだけは「あらあら〜」とか言いながらお茶すすってるし。マイペースすぎる!
まさに絶体絶命!……と思った、その時だった。
スパーーーーン!!
ものすごい音を立てて、大広間のふすまが開いた!
え!?今度は何!?
「皆さまーーーっ!お待たせいたしましたーっ!」
そこに立っていたのは、満面の笑みを浮かべた宿の女将さんだった。
え、このタイミングで?
「本日のお夕飯!特別サービス!なんと!ズワイガニ食べ放題でございます〜!」
「「「カニ!!??」」」
私と陽香さんの声が、またハモった。
いや、ていうか、お客さん全員の声がハモった気がする。
「なっ、何を言っているんだ君は!」
中津川警部が叫ぶ。「こっちは殺人事件の捜査中なんだぞ!」
「あらあら、刑事さん」
女将さんはニッコリ笑って、パン!と柏手を打った。
「お腹が空いては戦はできませんわよ?それに、カニは鮮度が命です!」
「そ、そうは言うが……」
さっきまでの鬼の形相はどこへやら。警部がちょっとタジタジになってる。
「カニ……食べ放題……」
私、思わずゴクリと唾を飲んじゃった。
隣の陽香さんを見ると、彼女もメガネの奥の瞳をキラキラさせて、カニを見つめていた。
「おい!貴様らまで!」
警部が私たちをギロリと睨む。
「わ、わかってます!わかってますけど!」私は思わず叫んだ。「でも!カニは正義です!」
「そ、そうです!カニに罪はありません!」
陽香さんも乗っかってきた!
「そうよそうよ!」いつの間にか桐谷さんが私たちの隣に来ていた。
「私、カニのためなら、もう一回アリバイ証言してもいいわよ!」
「だから、あなたはもう結構です!」
警部のツッコミが冴えてる!
「とにかく!」女将さんがもう一度、パン!と手を打った。「捜査も!おしゃべりも!まずはカニを食べてから!ささ、皆さん、食堂へどうぞ!」
女将さんの一声で、さっきまでヒソヒソしてたお客さんたちが、「わーい!」とか言いながら一斉に食堂に向かっていく。
え、ちょ、事件は!?
「ま、待て!貴様らー!」
警部の悲痛な叫びもむなしく、大広間には、私と、陽香さんと、警部と、桐谷さんだけが取り残された。
「……私たちも、行きません?」
私が恐る恐る言うと、陽香さんがコクコクと頷いた。
「……しょうがないわね。カニが呼んでるもの」
桐谷さんも行く気マンマンだ。
「お、おい!朝霧 遥!二人とも!」
私たちは警部を置き去りにして、カニの待つ食堂へと駆け出した。
だって、しょうがないじゃん!
カニだもん!
中津川警部の怒鳴り声が、温泉宿の大広間に響き渡る。
私(朝霧 遥)と、もう一人の私(朝霧 陽香さん)は、顔を見合わせて、同時に叫んだ。
「「グルじゃありません!!」」
わ、ハモった!
でも、そんな息ピッタリな感じが、さらに警部のイライラを加速させたみたい。
「同じ名前!同じホクロ!こんな偶然があるわけないだろうが!」
「いや、でも、本当に初対面なんですってば!」
「そ、そうです!私も、この方とは今、ここで……」
私と陽香さんが必死に言い訳すればするほど、警部の目はどんどん据わっていく。こわい!
もうダメだ、このままじゃ二人まとめて逮捕されちゃう!
大広間の空気は最悪。他のお客さんたちも、遠巻きに私たちを見てヒソヒソしてる。
桐谷さんだけは「あらあら〜」とか言いながらお茶すすってるし。マイペースすぎる!
まさに絶体絶命!……と思った、その時だった。
スパーーーーン!!
ものすごい音を立てて、大広間のふすまが開いた!
え!?今度は何!?
「皆さまーーーっ!お待たせいたしましたーっ!」
そこに立っていたのは、満面の笑みを浮かべた宿の女将さんだった。
え、このタイミングで?
「本日のお夕飯!特別サービス!なんと!ズワイガニ食べ放題でございます〜!」
「「「カニ!!??」」」
私と陽香さんの声が、またハモった。
いや、ていうか、お客さん全員の声がハモった気がする。
「なっ、何を言っているんだ君は!」
中津川警部が叫ぶ。「こっちは殺人事件の捜査中なんだぞ!」
「あらあら、刑事さん」
女将さんはニッコリ笑って、パン!と柏手を打った。
「お腹が空いては戦はできませんわよ?それに、カニは鮮度が命です!」
「そ、そうは言うが……」
さっきまでの鬼の形相はどこへやら。警部がちょっとタジタジになってる。
「カニ……食べ放題……」
私、思わずゴクリと唾を飲んじゃった。
隣の陽香さんを見ると、彼女もメガネの奥の瞳をキラキラさせて、カニを見つめていた。
「おい!貴様らまで!」
警部が私たちをギロリと睨む。
「わ、わかってます!わかってますけど!」私は思わず叫んだ。「でも!カニは正義です!」
「そ、そうです!カニに罪はありません!」
陽香さんも乗っかってきた!
「そうよそうよ!」いつの間にか桐谷さんが私たちの隣に来ていた。
「私、カニのためなら、もう一回アリバイ証言してもいいわよ!」
「だから、あなたはもう結構です!」
警部のツッコミが冴えてる!
「とにかく!」女将さんがもう一度、パン!と手を打った。「捜査も!おしゃべりも!まずはカニを食べてから!ささ、皆さん、食堂へどうぞ!」
女将さんの一声で、さっきまでヒソヒソしてたお客さんたちが、「わーい!」とか言いながら一斉に食堂に向かっていく。
え、ちょ、事件は!?
「ま、待て!貴様らー!」
警部の悲痛な叫びもむなしく、大広間には、私と、陽香さんと、警部と、桐谷さんだけが取り残された。
「……私たちも、行きません?」
私が恐る恐る言うと、陽香さんがコクコクと頷いた。
「……しょうがないわね。カニが呼んでるもの」
桐谷さんも行く気マンマンだ。
「お、おい!朝霧 遥!二人とも!」
私たちは警部を置き去りにして、カニの待つ食堂へと駆け出した。
だって、しょうがないじゃん!
カニだもん!
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