「「「かんぱーーーーい!!」」」
食堂に、私たちの元気な声が響き渡る。
グラスに入っているのは、シャンパン……ではなく、キンキンに冷えたウーロン茶だ。
「いやー、食った食った! まさか事件のオチが『変態おじさんのショック死』だなんてねー!」
陽香さんがカニの爪をパキッと割りながら、ケラケラ笑っている。
眼鏡がちょっとズレてるけど、気にしてないみたい。
「本当ですよぉ……。私、一時はどうなることかと……」
私は大きくため息をついて、目の前のタラバガニにかぶりついた。
んー! おいしい! 冤罪の恐怖から解放されたあとのカニは、格別の味がする!
私たちの横では、中津川警部が、カケル君をパトカーに乗せる手配を済ませて戻ってきていた。
なぜか、すごく「やりきった顔」をしている。
「ふっ……。真実はいつも、カニの殻の下に隠されているものなのだよ」
警部が誰に言うともなくつぶやいた。
いやいやいや! 警部、何もしてないですから!
推理外しまくってたし! 最後もただ呆然としてただけだし!
しかも、よく見たら口の端っこにカニの身がついてますよ?
「あの、警部さん」
私が恐る恐る指摘しようとしたら、警部がビシッと手を突き出した。
その手には、あのビニール袋が握られている。
中に入っているのは、水色の、ウサギの刺繍の入った……。
「朝霧 遥さん。容疑が晴れた以上、これは君に返却しよう」
「いりません!!!」
私は食い気味に叫んだ。
無理無理無理!
おじさんがスーハーして、うっとりしながら天に召されたハンカチなんて!
呪いのアイテム以外の何物でもないでしょ!
「え? いいのか? 限定品だと言っていたが」
「あげます! 警部にプレゼントします! 捜査の記念にどうぞ!」
「うむ……。では、警察学校の教材として大切に使わせてもらおう」
使うの!? 教材って何の!?
もうツッコミが追いつかないよ!
その時、ずっとお茶をすすっていた桐谷梅子さんが、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえばねえ」
おばあちゃんの声に、全員の視線が集まる。
まさか、まだ何か隠していることでも?
「私、思い出したのよ。昨日の夜、一緒にいた女の子のこと」
「えっ、誰だったんですか?」
私が身を乗り出すと、桐谷さんはニコニコしながら言った。
「あれ、きっと座敷童ちゃんね」
「「「はあ!?」」」
本日最後の大合唱。
「だって、足がなかったもの。フワフワ浮いてたし」
「ひいいいいいッ!」
私と陽香さんは抱き合って震え上がった。
小此木さんは「マジかよ……」って顔面蒼白だし、中津川警部にいたっては「幽霊の捜査権限は管轄外だ!」とか言って逃げる準備をしてる。
「まあ、いいじゃないの。座敷童を見ると幸せになれるっていうし」
「そういう問題じゃなーい!」
結局、殺人事件の犯人はただの事故で、アリバイの証人は幽霊を見ていて、探偵役はカニだった。
もう、めちゃくちゃだ。
「あーあ、もう! こうなったらとことん温まってやるー!」
私は立ち上がって、高らかに宣言した。
せっかくの温泉旅行だもん。
変な事件も、幽霊の話も、全部お湯に流しちゃえ!
「陽香さん! このあと卓球勝負ですよ!」
「望むところです! 負けたほうがコーヒー牛乳おごりね!」
「受けて立ちます!」
私たちは笑い合って、湯けむりの彼方へと駆け出した。
朝霧 遥の湯煙事件簿、これにて一件落着……ってことで、いいよね!?
(おしまい!)
食堂に、私たちの元気な声が響き渡る。
グラスに入っているのは、シャンパン……ではなく、キンキンに冷えたウーロン茶だ。
「いやー、食った食った! まさか事件のオチが『変態おじさんのショック死』だなんてねー!」
陽香さんがカニの爪をパキッと割りながら、ケラケラ笑っている。
眼鏡がちょっとズレてるけど、気にしてないみたい。
「本当ですよぉ……。私、一時はどうなることかと……」
私は大きくため息をついて、目の前のタラバガニにかぶりついた。
んー! おいしい! 冤罪の恐怖から解放されたあとのカニは、格別の味がする!
私たちの横では、中津川警部が、カケル君をパトカーに乗せる手配を済ませて戻ってきていた。
なぜか、すごく「やりきった顔」をしている。
「ふっ……。真実はいつも、カニの殻の下に隠されているものなのだよ」
警部が誰に言うともなくつぶやいた。
いやいやいや! 警部、何もしてないですから!
推理外しまくってたし! 最後もただ呆然としてただけだし!
しかも、よく見たら口の端っこにカニの身がついてますよ?
「あの、警部さん」
私が恐る恐る指摘しようとしたら、警部がビシッと手を突き出した。
その手には、あのビニール袋が握られている。
中に入っているのは、水色の、ウサギの刺繍の入った……。
「朝霧 遥さん。容疑が晴れた以上、これは君に返却しよう」
「いりません!!!」
私は食い気味に叫んだ。
無理無理無理!
おじさんがスーハーして、うっとりしながら天に召されたハンカチなんて!
呪いのアイテム以外の何物でもないでしょ!
「え? いいのか? 限定品だと言っていたが」
「あげます! 警部にプレゼントします! 捜査の記念にどうぞ!」
「うむ……。では、警察学校の教材として大切に使わせてもらおう」
使うの!? 教材って何の!?
もうツッコミが追いつかないよ!
その時、ずっとお茶をすすっていた桐谷梅子さんが、ふと思い出したように口を開いた。
「そういえばねえ」
おばあちゃんの声に、全員の視線が集まる。
まさか、まだ何か隠していることでも?
「私、思い出したのよ。昨日の夜、一緒にいた女の子のこと」
「えっ、誰だったんですか?」
私が身を乗り出すと、桐谷さんはニコニコしながら言った。
「あれ、きっと座敷童ちゃんね」
「「「はあ!?」」」
本日最後の大合唱。
「だって、足がなかったもの。フワフワ浮いてたし」
「ひいいいいいッ!」
私と陽香さんは抱き合って震え上がった。
小此木さんは「マジかよ……」って顔面蒼白だし、中津川警部にいたっては「幽霊の捜査権限は管轄外だ!」とか言って逃げる準備をしてる。
「まあ、いいじゃないの。座敷童を見ると幸せになれるっていうし」
「そういう問題じゃなーい!」
結局、殺人事件の犯人はただの事故で、アリバイの証人は幽霊を見ていて、探偵役はカニだった。
もう、めちゃくちゃだ。
「あーあ、もう! こうなったらとことん温まってやるー!」
私は立ち上がって、高らかに宣言した。
せっかくの温泉旅行だもん。
変な事件も、幽霊の話も、全部お湯に流しちゃえ!
「陽香さん! このあと卓球勝負ですよ!」
「望むところです! 負けたほうがコーヒー牛乳おごりね!」
「受けて立ちます!」
私たちは笑い合って、湯けむりの彼方へと駆け出した。
朝霧 遥の湯煙事件簿、これにて一件落着……ってことで、いいよね!?
(おしまい!)
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