読み込み中...

キング オブ バトル

制作者: クロマル
小説設定: | 連続投稿: | 投稿権限: 全員

概要

第10話 呪われた剛の記憶
クロマル
2025年12月27日 10:07 | 34
「……ぐっ……あ……」

針が深く、筋肉マッスルに突き刺さる。
体が動かねぇ。糸が皮膚に食い込んで、熱い。
でも、この程度の痛み……あの日、あの瞬間に比べりゃ、マシな方だ。

(……雨。土の匂い。血。全部、最低だ)

俺は昔、ただの札付きのワルだった。
拳を握れば、誰だってひれ伏す。それが気持ちよかった。
でも、そんな俺にも、たった一人だけ、笑いかけてくれる奴がいた。

「鋼牙くんは、本当は優しいね」

幼馴染の「サキ」。
アイツは、俺の馬鹿げたパワーを怖がらなかった。
アイツを守るためなら、何だってできると思ってた。

「……ば、ばかなっっっ!!!」

現実は、クソだ。
俺の喧嘩に巻き込まれたサキを助けようとして……俺は、力を制御できなかった。
俺が相手を投げ飛ばした拍子に、鉄骨が崩れた。
サキを助けようと、俺は全力でその鉄骨を掴もうとした。
だが、俺の剛力ちからは、掴んだ鉄骨を飴細工みたいにひしゃげさせちまった。

俺の手は、サキを救うんじゃなく、サキの逃げ道を塞いだんだ。

「……あ……」

瓦礫の下で冷たくなっていくサキの手。
俺がもっと器用だったら。俺にこんな力がなかったら。

それからの人生は、ただの地獄だ。
真っ当に生きようとしたさ。
でも、引越しのバイトをすれば家具を握り潰し、工事現場に行けば重機より先に床をぶち抜く。
「化け物」「破壊魔」「役立たず」

どこへ行っても、俺の居場所はなかった。
俺の拳は、壊すためにしか使えねぇんだ。

(だったら……壊し続けてやるよ。この、クソみたいな世界を!)

流れ着いたのが、この地下格闘場。
ここはいい。壊せば壊すほど、拍手がもらえる。
俺にふさわしい、泥沼の底だ。

「……クク。ハハハ……!!」

豪田の喉から、絞り出すような笑い声が漏れる。
刺さった針が、ミシミシと音を立てて震え始めた。

豪田「……氷室。テメェの過去は知らねぇが……。俺を止めたきゃ、魂ごと削り取ってみせろッ!!」

迅「な、なにぃーーーー!?」

豪田の全身の筋肉が、さらに膨張ビルドアップする。
刺さっていた五本のチタン針が、内側からの圧力に耐えきれず、弾け飛んだ!

バキンッ! バギンッ!

迅「……ば、ばかなっっっ!!! 氷狼の牙フローズン・ファングを……筋肉だけで弾き飛ばしただと!?」

豪田「……それがお前の全力か? 笑わせるなッ!!」

豪田の背後の空間が、ゆらりと歪む。
それは、怒りか、悲しみか。
どす黒い闘気オーラが、壊れた天井を越えて、天まで届きそうなほどに噴き上がった。
この小説をシェア
全階層の表示(10件)
第1話 地下へ——二人の狂戦士 クロマル 0 71
・地下五十メートル。 コンクリートの壁。むき出しの配管。錆びた鉄骨。 階段を降...
第2話 氷刃、疾る クロマル 0 61
・ゴングの余韻。 しん、と静まり返る。 いや、観客は叫んでる。 でも、二人には届い...
第3話 第三話 反撃の剛拳 クロマル 0 58
・迅、クールな表情のまま。 三メートル離れた位置で、ゆっくりと構えを解く。 迅「…...
第4話 激突!氷と鋼 クロマル 0 60
・ガシャァン……! 歪んだ鉄柵。 叩きつけられた迅が、ゆっくりと顔を上げる。 その...
第5話 氷の原点 クロマル 0 80
・鋼牙「ハッ……どうした? 天才さん。その程度か?」 鋼牙が煽る。鋼牙の「剛」の力...
第6話 覚醒の刻 クロマル 0 73
・「……ふっ。この技を見せるのはお前で二人目だ。誇るがいい」 迅が呟く。その瞬間、...
第7話 天を穿つ拳 クロマル 0 87
・迅「ば、ばかな…」 迅の青い瞳が、恐怖で見開かれる。 目の前の豪田は、もう人間...
第8話 The return of Zin クロマル 0 79
・パラパラと、瓦礫が落ちてくる。 天井に空いた大穴。そこから差し込む陽の光が、埃を...
第9話 氷狼の牙 クロマル 0 53
・暗く濁った青い瞳。リング上に張り巡らされた見えない糸。 豪田は、その糸の上で揺ら...
NEW 第10話 呪われた剛の記憶 クロマル 0 35
・「……ぐっ……あ……」 針が深く、|筋肉《マッスル》に突き刺さる。 体が動かねぇ。糸...
コメント
コメントを投稿するにはログインしてください。

ユーザー登録でみんつぐをもっと楽しもう!

お気に入りの小説の更新通知が届く

フォローした作家の新作をすぐに確認

好きな作品にいいね・コメント

感動を作者に直接届けられる

マイページで投稿を管理

自分の作品やいいねを一覧で確認

小説を書いてリレーに参加

新作を始めたり続きを自由に書ける

気になる作家をフォロー

好きな作家の新作をすぐチェック

分岐ツリーで展開を可視化

ストーリーの分岐を一目で確認

他にもみんつぐを楽しく便利に使う機能が充実!

無料で新規登録

すでにアカウントをお持ちの方は