その時、〇〇がこう言った
制作者:
さんぽ
小説設定:
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連続投稿: 可
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投稿権限:
全員
概要
ジャンルも何もかも自由ですが、その話の最後は「その時、〇〇(人物名)はこう言った」で締め、ぶっ飛んだ言葉で次話を始めてみたいです。
「――あるわよ、伏線」
マヤは静かに微笑んだ。その笑顔には、長年本を読み続けてきた人間だけが持つ、物語への確信があった。
「どこにだよ」
霧島が周囲を見回す。崩れかけた街並み、再起動の光に包まれていく空、スマホを構える女子高生、そして足元でため息をつく猫。どこにも伏線らしきものは見当たらない。
「ここよ」
マヤは、自分の胸に手を当てた。
「物語の伏線って、最初から用意されてるものじゃないの。登場人物が生きていく中で、後から『あれが伏線だったんだ』って気づくものなのよ」
女子高生が目を丸くする。
「えっ、それってメタ的にはかなり危ない発言じゃ……」
「危なくないわ」
マヤの声は、どこまでも穏やかだった。
「だって、霧島さん。あなた、さっき自分の人生に何も残せなかったって言ったでしょう?」
霧島は黙った。
「でもね」
マヤは一歩、霧島に近づいた。引きずっていた左足が、いつの間にか普通に動いている。世界が書き換わっているのだ、とぼんやり思った。
「あなたの叫び声を聞いて、私は逃げるのをやめたの。あなたが『ONE PIECEの最終回を読みたい』って泣いてるのを見て、ああ、この人も物語を愛してるんだなって」
マヤの目が、少しだけ潤んでいた。
「それって、十分すぎるくらいの伏線じゃない?」
猫が、ふん、と鼻を鳴らした。
「なるほど。感情的接続による因果の再構築か。文学的だが、論理的にも筋は通る」
「ぜんぜん分かんないんですけど!」
女子高生がスマホを振り回す。
「要するに、二人が出会ったこと自体が伏線で、これから回収されるってことですか?」
「そうね」
マヤは頷いた。そして、霧島の顔をまっすぐに見つめた。
「霧島さん。世界が続くなら、あなたはこれからどう生きるの?」
霧島は、言葉に詰まった。
無職で、何も持っていなくて、三十八年間ずっと逃げ続けてきた自分に、これからなんてあるのだろうか。でも――
「……わかんねぇよ」
また同じ言葉が出た。でも、さっきとは違う響きがあった。
「わかんねぇけど」
霧島は、空を見上げた。朝焼けの光が、少しずつ街を照らし始めている。
「少なくとも、明日も本屋に行く理由はできた」
マヤが、ふふ、と笑った。
女子高生がスマホを構え直す。
「えっ、ちょっと待って、これ恋愛フラグですか? ジャンル変わってません?」
猫が深々とため息をついた。
「馬鹿者。これは恋愛ではない。人間が人間と繋がる瞬間を描いているだけだ。……まあ、区別がつかんのも無理はないが」
その時、空の光が一段と強くなった。
世界の再起動が、最終段階に入ろうとしている。
猫は霧島とマヤを交互に見て、静かに告げた。
「最後に、一つだけ選択がある」
「選択?」
「この世界は『未完』のまま続くことになった。だが、それは同時に、終わりが永遠に来ないということでもある。お前たちは、それでいいのか?」
霧島とマヤは顔を見合わせた。
答えは、もう決まっていた。
そして――その時、二人は同時にこう言った。
マヤは静かに微笑んだ。その笑顔には、長年本を読み続けてきた人間だけが持つ、物語への確信があった。
「どこにだよ」
霧島が周囲を見回す。崩れかけた街並み、再起動の光に包まれていく空、スマホを構える女子高生、そして足元でため息をつく猫。どこにも伏線らしきものは見当たらない。
「ここよ」
マヤは、自分の胸に手を当てた。
「物語の伏線って、最初から用意されてるものじゃないの。登場人物が生きていく中で、後から『あれが伏線だったんだ』って気づくものなのよ」
女子高生が目を丸くする。
「えっ、それってメタ的にはかなり危ない発言じゃ……」
「危なくないわ」
マヤの声は、どこまでも穏やかだった。
「だって、霧島さん。あなた、さっき自分の人生に何も残せなかったって言ったでしょう?」
霧島は黙った。
「でもね」
マヤは一歩、霧島に近づいた。引きずっていた左足が、いつの間にか普通に動いている。世界が書き換わっているのだ、とぼんやり思った。
「あなたの叫び声を聞いて、私は逃げるのをやめたの。あなたが『ONE PIECEの最終回を読みたい』って泣いてるのを見て、ああ、この人も物語を愛してるんだなって」
マヤの目が、少しだけ潤んでいた。
「それって、十分すぎるくらいの伏線じゃない?」
猫が、ふん、と鼻を鳴らした。
「なるほど。感情的接続による因果の再構築か。文学的だが、論理的にも筋は通る」
「ぜんぜん分かんないんですけど!」
女子高生がスマホを振り回す。
「要するに、二人が出会ったこと自体が伏線で、これから回収されるってことですか?」
「そうね」
マヤは頷いた。そして、霧島の顔をまっすぐに見つめた。
「霧島さん。世界が続くなら、あなたはこれからどう生きるの?」
霧島は、言葉に詰まった。
無職で、何も持っていなくて、三十八年間ずっと逃げ続けてきた自分に、これからなんてあるのだろうか。でも――
「……わかんねぇよ」
また同じ言葉が出た。でも、さっきとは違う響きがあった。
「わかんねぇけど」
霧島は、空を見上げた。朝焼けの光が、少しずつ街を照らし始めている。
「少なくとも、明日も本屋に行く理由はできた」
マヤが、ふふ、と笑った。
女子高生がスマホを構え直す。
「えっ、ちょっと待って、これ恋愛フラグですか? ジャンル変わってません?」
猫が深々とため息をついた。
「馬鹿者。これは恋愛ではない。人間が人間と繋がる瞬間を描いているだけだ。……まあ、区別がつかんのも無理はないが」
その時、空の光が一段と強くなった。
世界の再起動が、最終段階に入ろうとしている。
猫は霧島とマヤを交互に見て、静かに告げた。
「最後に、一つだけ選択がある」
「選択?」
「この世界は『未完』のまま続くことになった。だが、それは同時に、終わりが永遠に来ないということでもある。お前たちは、それでいいのか?」
霧島とマヤは顔を見合わせた。
答えは、もう決まっていた。
そして――その時、二人は同時にこう言った。
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