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その時、〇〇がこう言った

制作者: さんぽ
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概要

第5話 猫の手を借りた
さんぽ
2025年12月29日 11:55 | 27
「……その原稿、まだ第一稿だろ。オチ弱いから書き直し」

世界が止まった。

霧島は目を瞬かせた。
マヤはペンを落とした。
概念の波は、猫のヒゲの先でピタリと静止している。

「……え」

「にゃ?」

猫は小さく咳払いをした。
いや、咳払いという概念を正しく理解した上での咳払いをした。

「やれやれ。だから人類は最終回を迎えるたびに炎上するんだ」

猫は尻尾を揺らしながら、瓦礫の上を歩く。

「何も残してないとか、最終回がわからないとか、テンプレ過ぎ。
三十六話で打ち切られる作品の主人公か?」

霧島の口が、ぱくぱくと動く。

「ね、ねこが……しゃべっ……」

「失礼だな。私は編集者だ」

マヤが、恐る恐る聞いた。

「……どこの?」

猫は胸を張った。

「世界線総合出版・最終回管理局。略して“サイカン”。君たちの宇宙は、今日が〆切だった」

空の裂け目が少し縮む。

「いいかい、人間」

猫は霧島を指さした。

「最終回ってのはな、立派な結末じゃない。読者が『続きがあるんだ』と錯覚する終わり方だ」

霧島の手が、震えながらノートを握りしめる。

「じゃあ……俺の最終回は……」

猫はニヤリと笑った。
確実に猫がしてはいけない種類の笑い方で。

「簡単だ。君は――世界を終わらせなかった無職として、次の話数に進め」

マヤが息を呑む。

「次の……話数?」

「そう。安心しろ」

猫はくるりと背を向け、空に向かって叫んだ。

「――最終回、延期! この世界、第二部制作決定!!」

その瞬間、裂けていた空が、拍手するように閉じた。

自販機が、何事もなかったかのように新商品を補充する。
猫は振り返り、霧島に言った。
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