童話異聞録その1「浦島太郎」
制作者:
A5
二次創作
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 10話で完結
概要
「浦島太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
赤く点滅する廊下。
警報音が頭に響く。
自分の足音。息。
「はあっ、はあっ……!」
どこへ逃げればいい?
背後から、何かが追ってくる気配。
ガシャンガシャンという金属音。
(やばい、やばい、やばい……!)
角を曲がった、その時。
足下に何か小さい緑の塊が!?
「うわっ!」
咄嗟に避けた。危ない、踏み潰すとこだった。
手のひらサイズのカメーリアだ。
「か、カメーリア……!」
「なんじゃ……貴様、なぜそんなに慌てて……」
カメーリアが顔を上げた。
そして、太郎の表情を見て。
「……どうしたというのじゃ、太郎」
声のトーンが変わった。
いつものエラそうな調子じゃない。
本気で心配してる、そんな声だった。
「カメーリア、俺……!」
背後で金属音が近づく。
立ち止まってる暇はない。
太郎はカメーリアを掴み、走り出した。
「お、おい! 何事じゃ!」
「説明する! 走りながら!」
曲がり角を曲がる。また曲がる。
太郎は息を切らしながら、必死に言葉を絞り出した。
「乙姫が……研究室で……人間を、実験してる……!」
「何……?」
「水槽に、人間が……魚みたいに変えられて……!」
カメーリアの小さな体が、ぴくりと震えた。
「ま、まさか……」
「本当なんだ! 俺、見たんだ! 『サンプル』とか、『適合者』とか……!」
「そんな……」
太郎の手のひらの上で、カメーリアがうつむいた。
小さな声で、呟いた。
「……そんな、そんなはずは……。乙姫様が……」
「カメーリア?」
カメーリアが顔を上げた。
その小さな黒い瞳に、迷いと、決意が混ざっていた。
「……太郎」
「何だ?」
「わらわ、知らなかった。そんなこと、全然……」
カメーリアの声が震えている。
「わらわは、ただ『地上の観測』を命じられていただけじゃ。乙姫様が、そんなことを……」
「カメーリア……」
「でも」
カメーリアが、ぐっと首を持ち上げた。
「でも、太郎。貴様はわらわを助けてくれた」
「え?」
「だから、今度はわらわが、貴様を助ける番じゃ!」
太郎は立ち止まった。
カメーリアを見た。
小さな亀が、必死の顔で太郎を見上げていた。
「……本気か?」
「当たり前じゃ! わらわは竜宮の誇りにかけて、貴様を地上へ逃がしてみせる!」
背後の金属音が、すぐそこまで迫っていた。
「さあ、行くぞ! ドックまで案内する!」
「でも、あそこは乙姫が……!」
「大丈夫じゃ。わらわには『海戦用ボディ』がある。あれなら、ドームの壁だって突き破れる!」
カメーリアの目が、ぎらりと光った。
「信じろ、太郎! わらわを!」
太郎は、ぐっと拳を握った。
「……わかった!」
二人は走り出した。
警報音の鳴り響く、赤い廊下を。
カメーリアの小さな声が、太郎の手のひらから聞こえた。
「すまぬ、太郎……。わらわは、何も知らなかった……」
警報音が頭に響く。
自分の足音。息。
「はあっ、はあっ……!」
どこへ逃げればいい?
背後から、何かが追ってくる気配。
ガシャンガシャンという金属音。
(やばい、やばい、やばい……!)
角を曲がった、その時。
足下に何か小さい緑の塊が!?
「うわっ!」
咄嗟に避けた。危ない、踏み潰すとこだった。
手のひらサイズのカメーリアだ。
「か、カメーリア……!」
「なんじゃ……貴様、なぜそんなに慌てて……」
カメーリアが顔を上げた。
そして、太郎の表情を見て。
「……どうしたというのじゃ、太郎」
声のトーンが変わった。
いつものエラそうな調子じゃない。
本気で心配してる、そんな声だった。
「カメーリア、俺……!」
背後で金属音が近づく。
立ち止まってる暇はない。
太郎はカメーリアを掴み、走り出した。
「お、おい! 何事じゃ!」
「説明する! 走りながら!」
曲がり角を曲がる。また曲がる。
太郎は息を切らしながら、必死に言葉を絞り出した。
「乙姫が……研究室で……人間を、実験してる……!」
「何……?」
「水槽に、人間が……魚みたいに変えられて……!」
カメーリアの小さな体が、ぴくりと震えた。
「ま、まさか……」
「本当なんだ! 俺、見たんだ! 『サンプル』とか、『適合者』とか……!」
「そんな……」
太郎の手のひらの上で、カメーリアがうつむいた。
小さな声で、呟いた。
「……そんな、そんなはずは……。乙姫様が……」
「カメーリア?」
カメーリアが顔を上げた。
その小さな黒い瞳に、迷いと、決意が混ざっていた。
「……太郎」
「何だ?」
「わらわ、知らなかった。そんなこと、全然……」
カメーリアの声が震えている。
「わらわは、ただ『地上の観測』を命じられていただけじゃ。乙姫様が、そんなことを……」
「カメーリア……」
「でも」
カメーリアが、ぐっと首を持ち上げた。
「でも、太郎。貴様はわらわを助けてくれた」
「え?」
「だから、今度はわらわが、貴様を助ける番じゃ!」
太郎は立ち止まった。
カメーリアを見た。
小さな亀が、必死の顔で太郎を見上げていた。
「……本気か?」
「当たり前じゃ! わらわは竜宮の誇りにかけて、貴様を地上へ逃がしてみせる!」
背後の金属音が、すぐそこまで迫っていた。
「さあ、行くぞ! ドックまで案内する!」
「でも、あそこは乙姫が……!」
「大丈夫じゃ。わらわには『海戦用ボディ』がある。あれなら、ドームの壁だって突き破れる!」
カメーリアの目が、ぎらりと光った。
「信じろ、太郎! わらわを!」
太郎は、ぐっと拳を握った。
「……わかった!」
二人は走り出した。
警報音の鳴り響く、赤い廊下を。
カメーリアの小さな声が、太郎の手のひらから聞こえた。
「すまぬ、太郎……。わらわは、何も知らなかった……」
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