童話異聞録「浦島太郎」
制作者:
A5
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 10話で完結
概要
「浦島太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
とりあえず、10話完結でやってみようかと思います。
乙姫の部屋を出た俺は、重たいため息をついた。
(あんな綺麗な人が、あんな悲しい顔をするなんてな……)
地球環境とか、文明のリセットとか、正直俺にはスケールがデカすぎてよくわからん。
ただ、乙姫様が本気で悩んでることと、このままだと大変なことになるってことだけは痛いほどわかった。
とぼとぼと廊下を歩いていると、曲がり角の向こうから「ふんぬ、ふんぬ!」という妙な声が聞こえてきた。
なんだ?と思って覗いてみると、そこにはカメーリアがいた。
廊下のベンチの上で、ひっくり返ったまま手足をバタつかせている。
「……何やってんだ、お前」
俺が声をかけると、カメーリアはビクッとして動きを止めた。
「あ、見られた! い、いや、これは違うぞ! 腹筋のトレーニングじゃ! 決して、おやつを食べようとしてバランスを崩したわけではない!」
その横には、深海エビ味のスナック菓子の袋が落ちている。
「嘘つけ」
俺は苦笑いしながら、カメーリアを起こしてやった。
「ふん! 礼は言わんぞ。貴様が来るのが遅いからいけないのじゃ」
カメーリアは悪びれもせず、スナック菓子をバリボリと食べ始めた。
「それにしても、乙姫様の話は長かったであろう? あの御方は真面目すぎるからのう。たまにはわらわのように、こうして息抜きをすればよいのに」
口の周りに食べかすをつけたまま、偉そうに語るカメーリア。
その姿を見ていると、さっき乙姫様から聞いた「破壊の華」なんていう物騒な呼び名が、まるで悪い冗談のように思えてくる。
「なぁ、カメーリア」
「ん? なんじゃ、改まって。わらわの菓子はやらんぞ」
「お前、自分の仕事……その『隠密行動』とか『任務』とかのこと、どう思ってるんだ?」
俺が聞くと、カメーリアはきょとんとして、それからニカっと笑った。
「誇りに思っておるぞ! わらわは選ばれたエリートじゃからな! 乙姫様の役に立ち、この竜宮城を守る。それがわらわの使命じゃ!」
その言葉には、一点の曇りもなかった。
自分が兵器として使い潰されるかもしれないなんて、微塵も疑っていない。
ただ純粋に、主人の役に立ちたいと願っているだけだ。
(……馬鹿野郎が)
俺は奥歯をグッと噛み締めた。
こんな小さな亀一匹に、世界の命運だの、汚れた海の責任だのを背負わせていいわけがない。
それに、乙姫様だって本心じゃあんなことしたくないはずだ。
「……決めたぞ」
「あ? 何をじゃ?」
俺はカメーリアの頭を、乱暴にガシガシと撫で回した。
「うわっ、やめろ愚民! 気安くわらわの頭を触るな!」
「うるせえ。いいかカメーリア、よく聞け」
俺はスナック菓子の袋を取り上げて、カメーリアの目を真っ直ぐに見た。
「俺は漁師だ。海で生きてる。陸のことも海のことも、どっちも大好きだ」
「だから何なんじゃ、急に」
「だから、どっちかが滅びるとか、誰かが泣くとか、そういうのはナシだ。俺が何とかしてやる」
根拠なんてない。
どうすればいいかも、まだ思いつかない。
だけど、目の前のこのちんちくりんな亀と、あの部屋で泣いていた乙姫様の両方を救えないで、何が男だ。
何が浦島太郎だ。
「おい愚民、菓子を返せ! 話を聞いておるのか!」
騒ぐカメーリアを見下ろしながら、俺は腹を括った。
歴史小説の英雄みたいにはいかないかもしれないが、俺なりに足掻いてやろうじゃないか。
(あんな綺麗な人が、あんな悲しい顔をするなんてな……)
地球環境とか、文明のリセットとか、正直俺にはスケールがデカすぎてよくわからん。
ただ、乙姫様が本気で悩んでることと、このままだと大変なことになるってことだけは痛いほどわかった。
とぼとぼと廊下を歩いていると、曲がり角の向こうから「ふんぬ、ふんぬ!」という妙な声が聞こえてきた。
なんだ?と思って覗いてみると、そこにはカメーリアがいた。
廊下のベンチの上で、ひっくり返ったまま手足をバタつかせている。
「……何やってんだ、お前」
俺が声をかけると、カメーリアはビクッとして動きを止めた。
「あ、見られた! い、いや、これは違うぞ! 腹筋のトレーニングじゃ! 決して、おやつを食べようとしてバランスを崩したわけではない!」
その横には、深海エビ味のスナック菓子の袋が落ちている。
「嘘つけ」
俺は苦笑いしながら、カメーリアを起こしてやった。
「ふん! 礼は言わんぞ。貴様が来るのが遅いからいけないのじゃ」
カメーリアは悪びれもせず、スナック菓子をバリボリと食べ始めた。
「それにしても、乙姫様の話は長かったであろう? あの御方は真面目すぎるからのう。たまにはわらわのように、こうして息抜きをすればよいのに」
口の周りに食べかすをつけたまま、偉そうに語るカメーリア。
その姿を見ていると、さっき乙姫様から聞いた「破壊の華」なんていう物騒な呼び名が、まるで悪い冗談のように思えてくる。
「なぁ、カメーリア」
「ん? なんじゃ、改まって。わらわの菓子はやらんぞ」
「お前、自分の仕事……その『隠密行動』とか『任務』とかのこと、どう思ってるんだ?」
俺が聞くと、カメーリアはきょとんとして、それからニカっと笑った。
「誇りに思っておるぞ! わらわは選ばれたエリートじゃからな! 乙姫様の役に立ち、この竜宮城を守る。それがわらわの使命じゃ!」
その言葉には、一点の曇りもなかった。
自分が兵器として使い潰されるかもしれないなんて、微塵も疑っていない。
ただ純粋に、主人の役に立ちたいと願っているだけだ。
(……馬鹿野郎が)
俺は奥歯をグッと噛み締めた。
こんな小さな亀一匹に、世界の命運だの、汚れた海の責任だのを背負わせていいわけがない。
それに、乙姫様だって本心じゃあんなことしたくないはずだ。
「……決めたぞ」
「あ? 何をじゃ?」
俺はカメーリアの頭を、乱暴にガシガシと撫で回した。
「うわっ、やめろ愚民! 気安くわらわの頭を触るな!」
「うるせえ。いいかカメーリア、よく聞け」
俺はスナック菓子の袋を取り上げて、カメーリアの目を真っ直ぐに見た。
「俺は漁師だ。海で生きてる。陸のことも海のことも、どっちも大好きだ」
「だから何なんじゃ、急に」
「だから、どっちかが滅びるとか、誰かが泣くとか、そういうのはナシだ。俺が何とかしてやる」
根拠なんてない。
どうすればいいかも、まだ思いつかない。
だけど、目の前のこのちんちくりんな亀と、あの部屋で泣いていた乙姫様の両方を救えないで、何が男だ。
何が浦島太郎だ。
「おい愚民、菓子を返せ! 話を聞いておるのか!」
騒ぐカメーリアを見下ろしながら、俺は腹を括った。
歴史小説の英雄みたいにはいかないかもしれないが、俺なりに足掻いてやろうじゃないか。
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