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童話異聞録「桃太郎」

制作者: A5
小説設定: | 連続投稿: | 投稿権限: 全員 | 完結数: 15話で完結 | 文字数制限: 4,000文字

概要

第2話 祝福
クロマル
2025年12月18日 15:31 | 54
お婆さんが川から持ち帰った桃をまな板に乗せ、包丁を手に取ったその時、玄関の戸が勢いよく開きました。

「ただいま戻ったぞ、婆さん! 驚くなよ、今日という日は一生忘れられん日になりそうじゃ」

山から戻ったお爺さんの手には、竹の筒が大切そうに抱えられていました。
お婆さんが不思議そうに歩み寄ると、お爺さんは興奮気味に語り始めました。

「山で芝を刈っておったら、一本だけ黄金色に輝く竹があってな。不思議に思って切ってみたら、なんと中からこの子が座って現れたんじゃ!」

お爺さんが竹の筒をそっと開くと、そこには月のように美しい赤ん坊の女の子が眠っていました。

「あらあら、まあまあ! なんて神々しい……」

「これほど美しい子は見たことがない。名前は『かぐや』と名付けよう。この気品…将来は大きな学び舎で生徒会副会長を務めるような、高潔な娘になるかもしれんのう」
「お爺さん、何を言うとるの?」
「さぁのう、わしも分からん。そんなことより目出度い。子供に恵まれなかったわしらに仏様からの祝福じゃわい」

二人がかぐやの誕生を祝っていると、不意にまな板の上の桃が、ひとりでに「パカッ」と音を立てて割れました。

「おや、桃が……?」

お婆さんが見つめる中、中から飛び出してきたのは、親指ほどの大きさしかないちっちゃな男の子でした。

「わっ、びっくりした! 桃の中からこんにちはだ!」

元気いっぱいに跳ねる男の子を見て、お爺さんは笑い声を上げました。
「これは愉快な。一日に二人も授かるとは。この子は小さいから『一寸坊』と名付けよう」

こうして、竹から生まれた「かぐや」と、桃から生まれた「一寸坊」。
お爺さんとお婆さんの家には、一気に二人の宝物が舞い込みました。それは、賑やかで少し不思議な日常の始まりでした。
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このパートからの分岐 (1)
旅立ち

あれから十数年の月日が流れました。 竹から生まれたかぐやは、お爺さんの予言通り(?)凛とした美し...

蒼月(そうげつ) 蒼月(そうげつ)
12/26 16:35
全階層の表示(17件)
第1話 川上からの贈り物 A5 1 81
・昔々あるところにお爺さんとお婆さんがいました。 お爺さんは山へ芝刈りに、お婆さ...
第2話 若返りの桃 冬至梅 0 75
・お婆さんは家に戻ると、早速手ぬぐいから桃を取り出しました。包丁を手に取り、そっと...
第3話 秘めたる決意 あさり 1 75
・あれから数年の時が流れました。 藤兵衛とおねの愛情を一身に受けて育ったももは、...
第4話 不思議な出会い 冬至梅 0 62
・もも改め桃太郎は、夜明けの薄明かりを背に家を後にしました。  海までは、それな...
第5話 日ノ本一のきび団子 冬至梅 0 67
・老婆の家は、竹林の奥にひっそりと建っていました。 「さあさ、遠慮せんと入りなさ...
第6話 暴れ犬の健 蒼月(そうげつ) 1 62
・翌朝、ももは老婆に深々と頭を下げました。 「お婆さん、本当にありがとうございまし...
第7話 驕りの刃 さんぽ 1 60
・健が太刀を抜くと、空気を裂くような鋭い音が、ももの耳を打ちます。 その音は、命の...
第8話 猿ではなく人 冬至梅 1 67
・海へと続く道を、桃太郎と健は並んで歩いていました。健は時折、横を歩く桃太郎をちら...
第9話 新しい仲間たち 蒼月(そうげつ) 0 57
・「|桃兄《ももにい》、下がっててくれ。こんな奴ら俺一人で十分だ」 (健は桃太郎の...
第10話 迷い クロマル 0 58
・五人の旅は、日に日に賑やかになっていました。 猿吉は先頭に立ち、持ち前の身軽さ...
第11話 妖艶の宴 クロマル 0 43
・館の門をくぐると、朱塗りの廊下が奥へと続いていた。 壁には金箔の屏風。天井からは...
第12話 傾奇者 蒼月(そうげつ) 0 27
・宿場町の大通り。 昼下がりの陽射しが、往来に長い影を落としていた。 桃太郎一行...
第13話 鎖鎌の朱雉 蒼月(そうげつ) 0 22
・街道に出ると、人通りが減った。 木々が両側から迫り、空が細く切り取られている。...
第2話 祝福 クロマル 0 55
・お婆さんが川から持ち帰った桃をまな板に乗せ、包丁を手に取ったその時、玄関の戸が勢...
第3話 旅立ち 蒼月(そうげつ) 0 31
・あれから十数年の月日が流れました。 竹から生まれたかぐやは、お爺さんの予言通...
第4話 山の暴れん坊 レュー 0 27
・少年の名は金太郎。 足柄山で熊を相手に相撲をとって育ったという、まさに野生児だっ...
NEW 第5話 恩返し クロマル 0 39
・三人は山道を歩いていた。 木漏れ日。苔むした岩。遠くで鳥の声。 「なあ、鬼ヶ...
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