童話異聞録「桃太郎」
制作者:
A5
小説設定:
|
連続投稿: 可
|
投稿権限:
全員
|
完結数: 15話で完結
|
文字数制限: 4,000文字
概要
童話異聞録 第二弾
前回の「浦島太郎」が皆様のおかげでうまく言ったので、味をしめての第二弾です
「桃太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、15話完結でやってみます。
前回の「浦島太郎」が皆様のおかげでうまく言ったので、味をしめての第二弾です
「桃太郎」のお話をベースに、違う結末にしていきたいと思います。
とりあえず、15話完結でやってみます。
健が太刀を抜くと、空気を裂くような鋭い音が、ももの耳を打ちます。
その音は、命の取り合いに慣れていない者の歩みを止めるには十分すぎました。
しかし、健の足さばき、肩の力の入り方、刃の角度。
すべてがももの視界の中でゆっくりと、妙に大きく、はっきりと見えたのです。
(な、何これ……?)
脳裏をよぎったのは、今も鮮やかな思い出。
臼と杵のリズムを合わせるのに苦労した餅つき。
だが、戸惑ったのは最初だけ。
ある瞬間から、次にどこへ杵が落ちるか自然と分かるようになりました。
(あの時と……同じ感覚だ)
健が踏み込み、太刀が振り下ろされます。
ももの身体が勝手に動きました。
一歩、横へ滑るように退き太刀をかわします。
健が驚いて目を見開きます。
「まっ…まぐれで避けたみてぇだな!」
二の太刀。
しかし、ももには分かっていました。
次は腰から振り上げてくる――。
短刀と太刀がぶつかり、小さな火花が散りました。
腕が痺れるほどの衝撃。
ももは、その痛みから恐怖ではなく勇気を得ました。
(動きが読める!)
健が怒りに任せて三度目の踏み込みをします。
その瞬間、ももは健の動きを読み取ります。
(右足に重心――次は横薙ぎ!)
ももは地を蹴り、健の懐に飛び込みました。
そして、短刀の柄で健の手首を打ちます。
「ぐあっ!」
太刀が落ち、乾いた音を立てて転がります。
ももは続けざまに、体勢が崩れた健の肩を押し込むと、健は尻もちをつき、呆然と桃太郎を見上げました。
「お、俺がこんなやつに…」
驚愕する健。
ももは息を整え、きっぱりと言い放ちます。
「あなたが振りかざしていたのは刃ではない。驕りだ。そんなもの、通用しない」
周りの人々がざわめき、行商人が涙目で頭を下げます。
「助けていただき、本当に……!」
健は顔を真っ赤にして立ち上がろうとしたが、足がもつれてうまく力が入りませんでした。
膝をついたまま、しばらく地面を睨みつけていると、やがて歯を噛みしめて顔を上げます。
「……くそ」
その声には、さきほどまでの尊大さはありません。
「剣を持ったのは早かった。強いって言われ続けて、調子に乗って……」
健は拳を握りしめます。
「でも、あんたには勝てなかった」
周囲の人々が息を呑む中、健はゆっくりと頭を下げました。
それは、先ほど行商人に向けていた態度からは想像もできないほど、深い礼でした。
「……すまなかった」
ももは驚き、思わず一歩引きます。
健は構わず言葉を続けます。
「俺はこのままじゃ、ただの威張り散らした馬鹿だ」
視線を上げ、ももを真っ直ぐに見据えます。
「だから……頼む。あんたの旅に、同行させてくれ」
ももは黙って健を見つめました。
確かに、健は乱暴で傲慢でした。
しかし今、その目には嘘がない。
(この人も……迷っていたのかもしれない)
ももは、腰の袋に入った黍団子の重みを思い出します。
彼は一つ深呼吸をしてから言いました。
「……条件がある」
健がはっと顔を上げます。
「自分の弱さから逃げないこと」
健は力強くうなずきました。
「……誓うよ」
こうして、ももの旅に一人の剣士が加わることになりました。
その音は、命の取り合いに慣れていない者の歩みを止めるには十分すぎました。
しかし、健の足さばき、肩の力の入り方、刃の角度。
すべてがももの視界の中でゆっくりと、妙に大きく、はっきりと見えたのです。
(な、何これ……?)
脳裏をよぎったのは、今も鮮やかな思い出。
臼と杵のリズムを合わせるのに苦労した餅つき。
だが、戸惑ったのは最初だけ。
ある瞬間から、次にどこへ杵が落ちるか自然と分かるようになりました。
(あの時と……同じ感覚だ)
健が踏み込み、太刀が振り下ろされます。
ももの身体が勝手に動きました。
一歩、横へ滑るように退き太刀をかわします。
健が驚いて目を見開きます。
「まっ…まぐれで避けたみてぇだな!」
二の太刀。
しかし、ももには分かっていました。
次は腰から振り上げてくる――。
短刀と太刀がぶつかり、小さな火花が散りました。
腕が痺れるほどの衝撃。
ももは、その痛みから恐怖ではなく勇気を得ました。
(動きが読める!)
健が怒りに任せて三度目の踏み込みをします。
その瞬間、ももは健の動きを読み取ります。
(右足に重心――次は横薙ぎ!)
ももは地を蹴り、健の懐に飛び込みました。
そして、短刀の柄で健の手首を打ちます。
「ぐあっ!」
太刀が落ち、乾いた音を立てて転がります。
ももは続けざまに、体勢が崩れた健の肩を押し込むと、健は尻もちをつき、呆然と桃太郎を見上げました。
「お、俺がこんなやつに…」
驚愕する健。
ももは息を整え、きっぱりと言い放ちます。
「あなたが振りかざしていたのは刃ではない。驕りだ。そんなもの、通用しない」
周りの人々がざわめき、行商人が涙目で頭を下げます。
「助けていただき、本当に……!」
健は顔を真っ赤にして立ち上がろうとしたが、足がもつれてうまく力が入りませんでした。
膝をついたまま、しばらく地面を睨みつけていると、やがて歯を噛みしめて顔を上げます。
「……くそ」
その声には、さきほどまでの尊大さはありません。
「剣を持ったのは早かった。強いって言われ続けて、調子に乗って……」
健は拳を握りしめます。
「でも、あんたには勝てなかった」
周囲の人々が息を呑む中、健はゆっくりと頭を下げました。
それは、先ほど行商人に向けていた態度からは想像もできないほど、深い礼でした。
「……すまなかった」
ももは驚き、思わず一歩引きます。
健は構わず言葉を続けます。
「俺はこのままじゃ、ただの威張り散らした馬鹿だ」
視線を上げ、ももを真っ直ぐに見据えます。
「だから……頼む。あんたの旅に、同行させてくれ」
ももは黙って健を見つめました。
確かに、健は乱暴で傲慢でした。
しかし今、その目には嘘がない。
(この人も……迷っていたのかもしれない)
ももは、腰の袋に入った黍団子の重みを思い出します。
彼は一つ深呼吸をしてから言いました。
「……条件がある」
健がはっと顔を上げます。
「自分の弱さから逃げないこと」
健は力強くうなずきました。
「……誓うよ」
こうして、ももの旅に一人の剣士が加わることになりました。
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